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学長トピックス 2009年10月号

2009年度理学系学長会議が福岡で開催

2009年度理学系学長会議 福岡開催の様子その1

表記の会議が10月1,2日の二日間、福岡で開催され、参加してきました。これは、理学部もしくは理学研究科出身の国立大学及び機構の学長・機構長(前職を含む)で構成される会議で、親睦を含め、時宜にかなった講演者によるお話を聞き、また意見交換を通じて、それぞれの大学での運営にも役立てようという、会議です。この構成員は、現職17人、前職9人の計26人です。13人の現学長・前学長の参加があり、当番大学の福岡教育大学の大後学長には大変お世話になりました。

14時30分から始まった会議では、最初に岐阜大学前学長で、日本学術振興会学術システムセンター副所長の黒木登志夫先生の「国立大学法人化の問題点-東大一人勝ちはなぜ悪いのか-」というタイトルでの講演でした。黒木先生は、昨年3月に岐阜大学学長を退任され、岐阜大学での学長としての7年間を、「落下傘学長奮闘記-大学法人化の現場から―」(2009年3月刊、中公新書ラクレ)にまとめられています。法人化前の3年間と法人化後の4年間の岐阜大学での学長としての経験から掴んだこと、そして高等教育はどうあるべきかについてデータに基づいての話でした。法人化前の学長は、「儀典職であり、内部調整役」であり、教授会自治・学内コンセンサス優先・文科省トップダウンであったのが、法人化後は学長のリーダーシップ、学長・役員会が最終決定・責任を持ち、評議会・経営協議会で審議する仕組みに変わったことを指摘。氏は第二期の中期目標・中期計画期間を来年に控え、今こそ高等教育の全体像を大学自身が描いて提示することの必要性を強調され,法人化後の最大メリットを「定員制と予算積算の廃止」とした。また、最大の問題点として東大・京大・東北大の運営費交付金に相当する額ほどの運営費交付金の削減(年1%)と附属病院の経営改善係数(2%)の導入により今年度8割の病院が赤字になることが予想されることなどを挙げられた。結論として、「社会的共通資本」(宇沢弘文著、岩波新書)にある、社会的共通資本としての自然環境、社会的インフラストラクチャー、制度資本としての医療・教育を紹介された。そして、わが国の研究費配分の持つ歪みを指摘され、地方国立大学のがんばりとその一つ一つに価値を見出す意味での多様性の重要性を指摘された。

16時までの講演の後、各大学長からの問題提起で、特に6月末に提出済みの第二期中期目標・中期計画(素案)に書き込んださまざまな事項と新政権の今後の高等教育政策との関連が議論された。特に教育学部と教員養成をめぐって民主党のマニフェストでの修士号義務化や教職大学院との関係など、突っ込んだ討論がなされた。17時30分までホットな議論が続き、もう一つの話題であった、理科離れの問題は、夕方の懇親会での議論となった。

黒木登志夫氏以外では、今回参加の13人の中で、この4月から学長になった方々は5人(池田幸雄茨城大学長、高田邦昭群馬大学長、松山優治東京海洋大学長、鈴木邦雄横浜国立大学長、柳澤康信愛媛大学長)、それ以外の現職では興直孝静岡大学長、榊佳之豊橋技科大学長、高畑尚之総合研究大学院学長、堀田凱樹情報・システム研究機構長、大後忠志福岡教育大学長、それに私の6人、前職では郷通子お茶の水女子大学前学長、渡邊隆上越教育大学前学長の2人が参加しました。

2009年度理学系学長会議 福岡開催の様子その2

二日目は、午前8時半にホテルをバスで出発し、大宰府天満宮と九州国立博物館を見学しました。あいにくの雨で、大宰府では雨に濡れながらの参拝でしたが、何と言っても学問の神様を祭る神社、境内には受験生を迎える幟が立っていました。天満宮の参拝もそこそこに、雨の中を九州国立博物館に向かいました。ここは、何しろ圧巻でした。小高い山を削って造られたのでしょうか?まず下からはエスカレーターを2回乗り継ぎ、次に動く歩道をたどって到着です。菊竹清訓氏の設計による館は、横80m、縦160mの屋根がすっぽり覆い、側面はガラス張り、最大高さ36mの建物の館内は、入ってすぐの場所は、オープンスペースで、ここは入場無料の領域で、博多山笠も飾ってあり、さまざまなイベントが催される場所、2階が常設展示場、3階が収蔵庫とそれを囲むように事務領域や研究領域、修復領域が配置されています。先月28日までは興福寺の阿修羅像の展示があり、ものすごい人で賑わったそうです。開館4周年をこの10月に迎えるそうですが、延べ入場者数は680万人に上るとのこと。展示場は、日韓交流の文化品から、東南アジアのお面、ありとあらゆるものがあり、とても30分の時間では、その入り口の入り口しか見学できませんでした。ここは、「面白くなければ博物館じゃない」をモットーに、独立行政法人博物館機構と福岡県アジアアフリカ文化センターの共同で運営されている博物館で、収蔵庫の様子や修復の様子も見学できるようになっており,その点では確かにユニークな博物館といえそうです。本田光子科学課長の案内で、国内唯一の等身大のCTスキャン装置、大画面スキャナー、3次元立体プリンターによる成型などさまざまな最新器具も見学できました。是非もう一度時間を掛けて見学したい施設です。入場料も420円と手ごろでお勧めの施設といえそうです。