大学紹介

HOME > 大学紹介 > 学長からのメッセージ : 学長室だより > 2017年 年頭あいさつを行いました。

2017年 年頭あいさつを行いました。

2017年1月5日(木)

皆さん,新年,あけましておめでとうございます。お忙しい中,お時間をいただきまして恐縮です。本日もささやかですが,あいさつにお付き合いいただければ幸いです。

まずは,2016年も何とか大過なく過ごすことができました。これも皆様方のご協力のたまものと思い,改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

ご承知のように,昨年は本学にとっては大きな,設置申請というプロセスをたどる時でした。担当の菅沼理事をはじめ,たくさんの方々にご協力いただき,問題なく進めることができまして,この春から新しい入学体制に踏み込むことになります。

新しい動きに向かって進む一方で,今年1月末に学位授与機構で行われるヒアリングはまだ平成27年度についてであり,28年度が終わりつつある中で27年度の最終評価を受けなければならないという流れの中にいます。29年度に新しい入学生を迎える準備を始める中,法人化して以降の特色として,3カ年に渡る動きが毎年毎年繰り返されていることを感じる次第です。とはいえ,本学が向かっていくのは,4月以降の新しい体制ですので,本日はそのことにかかわるようなお話を少しさせていただきたいと思っています。

ホームページに挙がっているのですが,昨年の年頭あいさつでは次のようなことを言いました。

まず,現在の執行部の1年目は「学びの年」だったということです。ミッションの再定義を始めとして,国立大学の改革が加速して,いろいろな宿題が各大学に課せられているということを,一教員の立場から管理・経営を担う立場に変わったときに,学び直しをする状況がありました。そして2年目には,それを踏まえて第二期を振り返り,第三期を計画するという「考える年」であったと述べ,3年目は「進めていく年」にしたいと宣言をしました。

結果,昨年の夏に設置申請が通って,学部改組が実現したという意味では,本当に「進めていく年」であったと思っています。入学試験はこれからですので,受験者の数,入学してくる学生たちの数等,いろいろ気になる点はありますが,少なくとも,2013年に定められたミッションの再定義の中の大きな約束の一つである「学部改組」という宿題を果たすことができたと思っています。

これから,ハード面,ソフト面を含めて,先生方そして事務の方々には充実に向けてご尽力いただくことになると思いますが,何卒よろしくお願いいたします。

それから,この1年もいろいろな人たちに会いました。近くで会話をした人もいれば,遠くから姿を見た著名人もいました。いろいろな人からいろいろなメッセージを聞きましたが,テレビに出ている人たちの言葉以上に,私の中で最も印象に残っているのは,県下の工業高校の校長の話でした。

それは,ある工業高校の視察に行った時に,その校長が自分の学校を目指してくる中学生たちにこんな話をしているんですと言って紹介してくれたものです。

どんなことかと言いますと,高校を卒業した後に,生徒たちが進んでいく道や社会が,今めざましく変わりつつある。だから,高校の教育も今まで通りではいかなくなっていくことを中学生たちに伝えて,だからうちの高校に来てくださいという話をしていることでした。特段すごい話ではないのですが,この話が一番印象に残っています。

この校長先生の話しの背景には,皆さんもよく知っている海外の経済学者の指摘がありました。たとえば,10年,20年後には現在の仕事の半数近くが自動化されてしまう。もしかしたら,2030年頃には週15時間程度働けばよくなる。毎日5日間勤務すれば1日3時間でいいという話です。子どもたちの65%は大卒後に今は存在しない仕事に就く。今存在しない仕事となれば,私たちがなかなか想像できない,予想できない世界が広がっていくということになります。その中で,校長が高校生向けの試算として紹介していたのが,例えば,ロボット技術が進んでいくと,本当に軽微な作業や繰り返しの動作はロボットたちがやってくれる。それにかける経費は,時給計算すると何百円という計算である。しかし,貴方たちは労働基準の査定からいくと時給が高くなる。同じ仕事をする人間とロボットが存在していて,時給に差があるということになったら,さて,人はどちらを雇うでしょうかという質問を高校生,あるいは高校を目指す中学生たちに投げかけているというのです。結論は,同じ軽微な作業であるならば,当然時給の安い方,つまり,ロボットを雇う。それが世の中の経済の動きなのだという話をしているとのことでした。

工業高校ですから,特化した話だったのかもしれません。しかし,私はその話を聞いたとき,本学のように教員を育てていく大学,並びに春からシフトしていく教育を支えていく専門職を育てていく大学であるならば,原点である人育ては,流行には流されない不易のものだという自負を持っていたけれど,教育の姿はひょっとしたら変わっていくのかもしれない,このことをもっと積極的に取り入れる姿勢が必要ではないかと思いました。本来,教育というものはface to faceでなすべきものだと思っています。ところが,星新一のショートショートの中で描かれていた世界が着実に具体化しています。家族が借り物であったり,仕事も家の中でして人と関わることはなかったりするような世界が描かれていたことを思い出すと,ぞっとする思いがあります。

科学技術が進歩し,合理化が進むということは,日本のような少子化を迎えた社会にとっては大事なことなのかもしれません。でも,その一方でface to faceの教育を支えていく人を育てている本学の在り方も問われます。今まで通りの教師を育てていく,専門職を育てていくだけで本当にいいのだろうか。そんな考え直しをふとさせられるような話でした。

これからは,教育大学としての使命を守っていく一方で,新たな時代の到来を意識した形で,当然のことながら発想を新しくして,挑戦していくことが必要だと思っています。まもなく3年目を終えようとしていますが,予算とか,人事とか,施設設備だとか,目先のものに捕らわれて,そのことに一喜一憂する時期であったかなという反省があります。

国立大学である以上,高等教育機関としての責任を全うしていくことが,確実に愛知教育大学がこの地に根ざしていくことの要になっていくと思います。

そこで,2017年は「拓く年」という言葉を使いたいと思っています。この「拓く」は,開拓の拓という字です。これに関連して,大学を洗練していく作業にももっと着手したいと思っています。

本学には埋もれたような財産がたくさんあると思います。例えば,図書館の改修が近づいていますが,西宮特命学長補佐にお願いしていることは,愛知教育大学の周りの歴史と資産をしっかりと探してほしい。つまり,武家社会を含めてすごい文化が愛知にはあるので,それを愛知教育大学の周りで探してみたらどうなるのかということをやっていただきたいとお願いしています。

さらに,私自身も明日から4,5日かけてカンボジアを再度訪ねます。学生たちが発育・発達の調査などをやってくれるのですが,今回は本学の唯一の登録商標である「しょくまるファイブ」を連れて行きたいという目的があります。発展途上にある国では,教科書を整備して一生懸命勉強させようとしています。しかし,栄養状態がよくない,発育の悪い子どもたちがたくさんいます。その子たちを支えていくのは,日本がたどってきた時と同じように食育だろうと考え,本学の1つの埋もれた財産として発掘し,そして外へ広げていきたいと思っています。

最後に,今年の干支についてです。学生に原稿を頼まれて書く際に調べたものですが,干支というと私たちは十二支を思い浮かべ,子丑寅...と数えていますが,もう一つ,十冠,甲乙丙丁...があります。丙午(ひのえ・うま)と言えば,よくわかると思います。これは,十二支の午と十冠の丙の組み合わせであり,年には60パターンがあるという話です。今年は酉年と言いますが,酉と甲乙丙丁の丁という字が組み合わさった丁酉(ひのととり)の年,あるいは丁酉(ていゆう)の年になるそうです。丁酉の「丁」という字は陽気が充実するという意味,「酉」という字は食物が成熟し実るという意味があります。これを受けとれば,実りの時期を迎えて陽気が充実するいい年であるという想いを今年の酉年に持つことができます。日本全国に酉年がやってきているので,それが本学だけに降り注ぐわけではないのですが,勝手に本学を後押ししてくれる年であるという過大解釈をして,これからの1年,それから4年目を迎える現体制,さらには第3期の2年目となって,評価がなお一層厳しくなる年を,ご参集いただいた皆様のますますのご支援を賜りながら,愛知教育大学を確実な大学として位置づけていくために拓いていきたいと思っています。

何卒ご協力をよろしくお願いいたします。本日はご静聴ありがとうございました。

高校生の為の受験生応援ページ