大学紹介

HOME > 大学紹介 > 学長からのメッセージ : 学長室だより > 2018年 年頭あいさつを行いました。

2018年 年頭あいさつを行いました。

2018年1月5日(金)

新年,明けましておめでとうございます。お忙しい中,時間をいただきまして恐縮です。
佐藤愛子さんの本で『九十歳。何がめでたい』というタイトルがあるように,年が明けたことがめでたいというよりも,昨年1年を大過なく終えたことに感謝し,無事に新年を迎えられたことを喜びたいと思います。そして,本当のめでたさは1年かけて皆さんと共に作り上げていきたいと思っています。

さて,学長就任後の年頭挨拶も今年で4回目となります。学長任期の6年において,どこを区切りとして頑張っていくかは自分で考えなければいけませんが,過去4年を振り返ると2年刻みであったと思います。

当初の2年は第2期の終わりの2年間でしたので,第2期で計画したことを達成することが最大の目標であり,その実績をふまえて第3期の計画を立てることが非常に重要でした。その後の2年は自分たちで計画した第3期となり,まもなく2年間が終えようとしています。ご承知のとおり,第3期は6年間のうちの4年間で中間評価を受けることになります。すでに2年間が過ぎようとしていますので,これからの2年間は本学の第4期を構想する上でとても重要な時期となります。

ところで,現執行部の1年目は「学びの年」であったことから,2年目の年頭挨拶では「考える年」にしたいと述べました。3年目は考えたことを実際に「進めていく年」にしたいと述べて,課程改組の実現に向けて努力しました。そして,2017年は「拓く年」にしたいと述べたとおり,新課程の設置が実現し,4月には意欲に満ちた入学生をたくさん受け入れることができました。関係の皆さまには改めてお礼を申し上げたいと思います。 今後は,これらの学生たちをしっかりと育てていくことが本学の使命となります。しかしながら,年度目標・年度計画をもとに改組等の運営を進めてきたところ,昨年8月末には『国立教員養成大学・学部、大学院、附属学校の改革に関する有識者会議』の報告が出されるなど,本学が「国立大学であること」「教員養成大学であること」の2つの特色を有するがゆえに将来に向けてなかなか厳しい状況があります。

このような中,国立大学協会は遅くとも今年6月の総会までに「高等教育における国立大学の将来像」を公表する予定です。この議論では,附属学校を含めた教員養成系大学のビジョンの弱さが指摘されており,種々の課題に対して十分に応えきれていない状況があると言えます。国立大学86校のうち,教員養成系の大学・学部は44校で,全体の半分でしかありません。44校の中には本学のような単科大学もありますが,地方に1校という総合大学の教育学部で教員養成を行っているところもあり,各大学が置かれている状況は一様ではありません。本学は,名古屋大学をはじめとして愛知県内に4つある国立大学の一つという立場ですが,近くにある岐阜大学・静岡大学・三重大学は県内唯一の国立大学であるため,教育学部への期待は地域の中でも大きなものになっています。これらの大学とどう付き合っていくのかは,愛知教育大学にとって非常に大きな課題になりつつあります。そこで,国立大学協会に私から提案して,「教員の養成および研修に果たす国立大学の使命とその将来設計を検討するワーキング」が設置されました。国立大学自らが教員養成をどのように位置づけ,役割を果たしていこうとするのかを考えるにあたり,44大学だけの問題,11の単科大学の問題だとするのではなく,国立大学全体のこととして捉えてほしいと思ったからです。このワーキングの議論では,教員養成は守りに入っているとも言われています。「教員免許を出すためには沢山の教員を必要としていて,人件費が高くつくので大変だ」ということを理由にして,一歩外に出て行くという考えに乏しいのではないかと言われています。そんなことはないという反論はあるものの,年度内には国立大学協会のワーキング報告としてまとめられる予定です。本報告の中では,大学間の連携・統合という状況は避けられないのではないか,むしろ積極的に国立大学が公立大学や私立大学を束ねる役割を果たすというビジョンが必要なのではないかと述べつつあります。ワーキングの議論で「再編・統合」という表記は「連携・統合」に変えましたが,今後は「統合」は悪いことではない,私立を含めた「統合」の在り方について模索することは国立大学として大事ではないかという話になる可能性があります。

同時に,日本教育大学協会という教員養成に関わる組織でも,財政難の問題,私立大学を含む教職大学院協会との棲み分けの問題から,ここでもワーキングを立ち上げて今後のあり方を検討しているところです。私は,幸いにも国立大学協会の理事会で陪席的ではあるものの発言できる席をいただいており,さらに国立大学協会のワーキングのメンバーであり,日本教育大学協会のワーキングのメンバーでもあることから,愛知教育大学や教員養成について発言できる機会はいただいています。とはいえ,1大学の発言で済むことではなく,国立大学への期待と課題,そして教員養成に対しての将来ビジョンというものは,非常に大きな社会的・政治的な動きの中で突きつけられていく状況が当面続くと思います。

学校現場に目を向けると,いじめ,不登校,あるいは子どもの貧困など,いずれも新しい問題というよりも,以前からあって十分に解決されないままに続いている課題があります。心身の健康被害を訴える子どもも多く,その数は増える一方です。こういう状況にあって,本学のような,教員養成を主軸として様々な専門職を育てていく大学の社会的な意義は言うまでもなく重要です。しかし,重要性は認められていても,運営にかかわる経済的支援を得るのは難しく,自力で何とかするしかないのが現実です。

本学の監事さんからは,皆さんへのヒアリングで「大学がどこに向かっているのかわからない」という人がいたと聞いています。この間,方向性は変えていません。教育大学ですから「教員養成に結果を出す」の一言に尽きますが,そのことを理解していない人の存在を残念に思います。

ところで,一生懸命育てた学生が教育現場で十分に機能できるようサポートする人が必要と考え,「チーム学校」の流れを受けて教育支援専門職養成課程を設置しました。少子化が進む中,本学にとって大きな財源である入学金や授業料等を支える入学定員が今後も維持できるとは考えていません。その一方で,世の中には学部に入学する直進学生だけではなく,数十万人の教員として働いている人がいます。先ほど紹介しました国立大学協会の教員養成と研修のワーキングでは,最終的に合意した点は,国立大学は教職大学院を中核として教員養成の高度化に向けて努力するということです。それが国立大学に教員養成学部を置くことの意義であり,高度化は教職大学院にとどまらず,ドクターコースにもつなげていくものとして確認したところです。つまり,学部の学生だけを対象とする大学ではなく,教育現場にいる先生たちを現代的課題解決のためにスキルアップしていく研修を行うこと,その人たちが学び直しのために大学院に行けるような設計をすることが必要だと言えます。

そこで,今年は私立・公立大学との連携も強めたいと思っています。何事も先手必勝の世界です。国立の86大学の中にある44の教員養成系大学・学部の人たちならば,今なすべきことは多くの人がわかっていると思います。すでに一番に手がけた大学は先行例として様々な場面で紹介されています。何かの先行例になることは簡単ではありませんが,本学も,学生のみならず,現職の教員や社会人を含めた対象の裾野を広げ,『人生100年時代構想』が動く中,リカレントを含めた教員の再教育に特化した大学運営を考えていかなければならないと思っています。当面の課程認定作業を終えた後は,教職大学院への拡充制度をどう作っていくかが大きな課題となります。現状維持では何も変わりません。このままでは,愛知教育大学の良さが埋もれていくだろうと思います。本学は,これからも,独立した教員養成の大学として発展し続けるべきであると考えています。そのためにも,私立などにも協力を求めながら,そのリーダーとして進んでいきたいと思います。

2018年のコンセプトは「結ぶ年」にすることです。キーワードは「連携」であり,様々なことの実現にむけて連携の体制を強化し,そのリーダーとして推進させることと考えます。今後も,皆さんには色々とお願いすることがあると思います。年が明けましたので,理事を中心として,副学長や各部長を中核とした執行体制の見直しも行いたいと考えています。半年前の事務体制の変更を振り返る,良い時期が来ていると思いますので,ご理解いただき,愛知教育大学のために今年一年,またよろしくお願い致します。

本日はご静聴ありがとうございました。

高校生の為の受験生応援ページ