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平成21年度9月卒業式を挙行しました。

平成21年9月30日(火)10時30分

学長告辞

2009年 9月卒業・修了式の様子

本日をもって教育学部教員養成4課程を卒業する2人、学芸4課程を卒業する11人、及び大学院教育学研究科を修了する3人、合わせて16人の皆さん、本当におめでとうございます。

皆さんは、それぞれの事情があり、半年間あるいはそれ以上、修了年限を超えて、9月卒業・修了となりましたが、学部卒業の方は卒業研究の単位を修得され、大学院にあっては修士号の学位論文審査に合格され、ここに卒業・修了されることとなりました。卒業・修了はゴールと同時に、新たなスタートでもあります。心から、祝福の言葉を贈りたいと思います。多くの学友と同時に卒業・修了できなかったとはいえ、これも長い人生における一つの経験であり、これを一つの契機として、それぞれの人生を一歩一歩歩んでいただきたいと思います。

卒業生ならびに修了生の皆さんは、本学での学びの中で、クラスの仲間やクラブ・サークルの仲間との友情を育み、充実した大学生活を送られてきたことと思います。学部にあっては、各自の専攻分野の学問の難しさや奥深さを理解されました。大学院にあっては、学部での学びの上に、それぞれの専攻における学問を探求され、その成果を学位論文に結実されました。多くの授業の中で色々な感動を経験し、卒業研究・ゼミ・修士論文作成など、先生方から指導を受け、指導教員との間でも師弟の良き関係を築かれたことと確信しています。この場に、何人かの卒業・修了生の指導教員も出席され、祝福してくれています。いい師は、一生の師ともなり、よき相談相手にもなってくれます。

卒業・修了される多くの方は、今回の政権交代をどのように感じておられるでしょうか。もちろん、8月末の衆議院選挙では国民としての選挙権を行使されたと思いますが、今から2週間前に、民主・社民・国民新の3党連立鳩山政権が誕生しました。思い起こせば、2009年は、アメリカでのオバマ政権の誕生で幕を開けました。オバマ大統領は、今年の4月チェコのプラハにおいて、核兵器の廃絶を力強く世界に訴え、核保有国としての道義的責任に言及しました。そして、先日の国連での安全保障理事会において鳩山首相は、世界で唯一の被爆国としての「道義的な責任」「世界の指導者にもぜひ広島・長崎を訪れてほしい」「核廃絶に向けて先頭に立つ」「私は今日、日本が非核三原則を堅持することを改めて誓います」など、わが国の代表としては初めて、核廃絶へ向けて核保有国に対して核軍縮を求め、非核兵器地帯の創設を求めました。複雑な国際政治の中で核廃絶が簡単に達成できるとは思いませんが、世界の指導者が核廃絶の方向で一致したことは大きな前進であり、こうした世界の潮流は、「平和で豊かな世界の実現に寄与する人間の教育を行う」ことを目標とする本学の教育目的にも合致していることを確信しています。経済的不況の中にあっても、私たちの生きていく未来が明るいものであるとすれば、そのことが生きることの自信や未来への展望に繋がります。

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もう一つの大きな問題は地球温暖化に象徴される環境問題です。新政権は、1990年比で温暖化効果ガスの2020年までの25%削減を国際的に宣言しました。自然エネルギーへのシフト、グリーンニューディール政策など、ここでも世界は大きく動いています。新たなブレイクスルーが起こる、そうした息吹きも感じられます。足元に目をやれば、私は、この自然がいっぱいのキャンパスが大好きです。春は桜の花に始まり、たけのこがあちこちに顔を出し、秋には銀杏や柿、それに栗やアケビと季節季節の恵みをこのキャンパスにいながら満喫できる緑に囲まれたキャンパスです。本学は、環境重視型キャンパスの創造を一つの柱にしています。今年は大学創立60周年の節目の年ですが、10年後には、飛躍的に変化したカーボンニュートラルキャンパスが実現していることを期待しています。「think globally」で環境問題への関心を持ち続けていただきたいし、「act locally」で、身近にできることを実践していただきたいと願っています。

さて、3番目は教育の問題です。先日も経済協力開発機構(OECD)の教育に関わるデータが公表されましたが、加盟28カ国で日本の国内総生産(GDP)に占める教育機関への公的支出は、主要28カ国中27位にあり、特に高等教育では0.5%で、データの存在するOECD加盟国(28カ国)で最も低いことが、先日報道されました。民主党は、教育への公的支出を「先進国平均(対GDP比5%)以上を目標に引き上げる」「OECD先進国並みの教員配置を目指し、少人数学級を推進する」「教員養成は6年制とし、修士号取得を義務付ける」などの政策を掲げています。こうした施策は歓迎すべき事柄であり、今後の教育改革に期待したいと思います。

2008年度ノーベル物理学賞を受賞された益川敏英さんの最近の著書に『「フラフラ」のすすめ』という本があります。氏は、この本の最後で、自らの「フラフラ」の人生を振り返り、「あまり早い時期に人生の目標を設定する必要はありません。フラフラと迷いましょう。そもそも人生にはじつにいろんなことが待ち受けています。自分がこの道にすすんで成功するのかなんて誰にもわかりません。大切なのは、自分から第一歩を踏み出すことだと思います。そしてその瞬間に一番重要だと思えることに、全力でぶつかってみることです。」と結んでいます。これは、高校生に向けて書かれた本ですが、私は誰にも通用する大事なことだと思います。なぜなら、私自身、60を超えた今でも、迷いとフラフラの人生を歩んでいることを実感しているからです。そして、一番重要と思えることに全力でぶつかる勇気を持ち続けたいと願っています。

今朝、中日新聞で同じようなメッセージを読みましたので、紹介したいのですが、武田仁さんとおっしゃるこの方は、私と同世代の62歳で、東京都で小学校教員をされていました。特別支援学級を担当したことが契機で、定年の3年前に転職し、今は障害者が働く豆腐店を開かれ、障害者の自立を支える仕事をされています。武田さんは、「待っていたんじゃだめ、迷ったら一歩前に出てほしい」と若い世代へのメッセージを述べられています。共通する言葉、「大切なのは、第一歩を踏み出すこと、迷ったら一歩前に出てほしい」、を卒業・修了される皆さんへのメッセージとしたいと思います。

教員を目指される方は、地に足を下ろし、子供たちと真摯に向き合い、常に外の世界に目を向けて、「なぜと問う気持ち」を大切に、一歩一歩教師としての道を歩み、その足跡を刻まれることを期待します。

また、教員以外の道を歩まれる方々も、本学で培われた学びを土台に、広い視点から物事を見、自らの意思で判断し、それぞれの分野で、自らを鍛え、その道のエキスパートを目指して、歩まれることを期待します。

卒業・修了生諸君の今後の大いなる活躍が、本学の、そして日本や世界の今後を支え、変革する大きな力になるものと確信しております。今後のご活躍を祈念いたしまして、卒業・修了式にあたっての告辞といたします。

平成21年9月30日
愛知教育大学長
松田 正久