2022年3月5日 教育行政職高度化シンポジウムを開催しました。

2022年3月15日

3月5日、本学大学院教育学研究科修士課程の教育ガバナンスキャリアコース主催で「地方教育行政と学校を支える人財-教育行政専門職の育成-」をテーマに、教育行政職高度化シンポジウムを開催しました。
このシンポジウムは、当該コースが目指す教育行政専門職とは何かといった基礎的な概念や、子ども行政の一元化といった動向など転換期にあるともいえる教育行政の中で、教育行政職に期待される役割と育成の在り方などを改めて検討するため、様々な立場の有識者をお招きして基調講演とパネルディスカッションを行いました。名古屋市内の会場とオンラインの併用で開催し、愛知県内の教育委員会職員や学校事務職員、学生など82名の参加がありました。

教育学研究科長でもある野田敦敬学長の開会挨拶では、本コースを令和3年度に開設するまでのエピソードを紹介し、「本学独自のコース設置に後押しをいただいた自治体からの期待に応えられるよう、多くの方の知見をいただきコースの充実を図っていきたい」という思いを述べました。

挨拶する野田学長
挨拶する野田学長

前半の基調講演では、放送大学特任教授で東京大学名誉教授でもある小川正人先生から「『教育行政職』の実情と取組みの動向 -『教育行政職』の可能性を考える-』と題して、全国の教育委員会や学校事務職員といった教育行政分野の専門職人材の採用方法やキャリア形成等についてパターン別に紹介を行い、パターンごとのメリットやデメリットを踏まえた専門性の育成における課題について講演をいただきました。

教育行政職の実情について講演する小川正人氏
教育行政職の実情について講演する小川正人氏

後半では、本学の本多正人教授のコーディネートで、京都府京都市、埼玉県戸田市、愛知県蒲郡市、愛知県豊田市から4名のパネラーを招き、小川先生をコメンテーターとしてパネルディスカッションを行いました。パネルディスカッションでは、まず4名のパネラーから各市の取組事例などについて紹介がありました。
1例目は、市長部局と教育委員会の採用試験区分は同一であるが、教育委員会採用後は一貫して教育行政職として勤務するといった全国でも珍しい取組を行っている京都市教育委員会の事例を稲田新吾教育長から紹介をいただきました。2例目は、「教育行政のプロを採用しています」というキャッチフレーズを掲げ、基礎自治体としてはじめて事務の教育枠採用を取り入れた戸田市の山本典明氏から教育枠採用者の業務内容や期待される役割について紹介をいただきました。3例目は、学校事務職員から課題解決型ポストの副主幹として教育委員会に出向している蒲郡市の事例をもとに小島賢三氏から、教育委員会と学校をつなぐ役割の重要性について紹介をいただきました。4例目は、本学教育ガバナンスキャリアコースに豊田市教育委員会から派遣されている鈴木美穂氏から、大学院での学びの様子や教育分野のエキスパート人材の必要性と可能性についてお話いただきました。 その後、コメンテーターの小川先生も加え、オンライン参加者からの質問にも答えながら、教育委員会の教育職と行政職や市長部局の行政職と教育委員会の行政職などそれぞれの分野の職員相互が連携を進める上での教育行政職の専門性とは何かといったことや、教育行政職の育成に向けた取組の多様性とそれらの可能性などについて活発な議論が行われました。

パネルディスカッションの様子
パネルディスカッションの様子

シンポジウムの最後に、本学の新津勝二理事・事務局長から終わりの挨拶として、「基調講演とパネルディスカッションを通して、教育行政職の採用人事や異動に関しては共通の制度とすることで育成に関する課題が解決するものでなく、各自治体の実情を把握し強みを活かす特色ある取組を繰り広げていることが分かった。また、教育行政のプロになるためには、社会の変化が激しい中で教員のみでなく、教育に携わる事務職員も学び続けていかなければならない」と総括を行いました。

総括する新津理事
総括する新津理事

シンポジウム終了後のアンケートでは、「教育行政職にかかわる様々な立場の方からの話を聞いて視野が広がった」「現職者にとっても学び続けることができるきっかけになった」「地域や職を超えた交流が広がっていくきっかけやハブになることを期待する」といった声が寄せられ、参加者および本学双方にとって、今後の教育行政職の可能性を感じさせる大変有意義な時間となりました。

シンポジウム会場の様子
シンポジウム会場の様子
オンライン配信も行いました
オンライン配信も行いました