海外への留学

海外への留学

晋州教育大学校留学体験記 - 2008.1

大学 晋州教育大学校
所属 初等教員養成課程 教育科学
留学期間 2008年3月21日 ~ 2009年2月14日(愛教大3年次に留学)

派遣先の国・大学

この国・大学を選んで良かったと思ったこと

韓国の大学は3月スタートで12月には授業が終わります。なので,出発はちょっとバタバタしますが,留学後は余裕を持って日本での新学期を迎えられます。
それに晋州は他の国からの留学生がおらず,外国人が愛教の学生のみなので,韓国語に集中して勉強に励むことができるし,他の生徒も唯一の外国人ということで興味を持ってくれ友達ができるかという心配が要らないくらいみんな親切にしてくれます。

この国・大学で,残念だと思ったこと

外国人留学生が居ないため,韓国語の正式な授業がなく,一般の授業を受けるときも留学生の存在を知らない先生もいるので試験や評価の面での対応に困ることが多く,受講を認めてもらうのに説得が必要なこともあります。
また授業のない時間,自由になる時間がとても多いので,自分からやりたいことを探して動いたり,計画を持って生活したりしないとだらけてしまうかもしれません。

普段の生活について

奨学金はありましたか?金銭状況を教えてください

奨学金は留学先の学校からの奨学金でした。
韓国に口座を開いてそこにお金を振り込んでもらうシステムです。月に50万ウォンずつ支給されるけど,初めの月だけそれに加えて,行き帰り往復分の航空券代+当座の生活費として20万ウォンがもらえます。でも,留学中は大学の寮に住めるので,寮の費用は無料で,食事だけ1食1400ウォンで長期休暇やお盆以外休日も3食全部出るので,半期に1度50万ウォン弱払えば,そのほかの費用はほとんどといって良いくらいかからないので,お金には結構ゆとりがあります。

寮,住居はどうですか?

寮は大学の学生寮のゲストルームを使わせてもらえました。もし男子2人女子2人で留学に来る場合は2つあるゲストルーム1部屋を2人で利用することになるそうです。部屋の中にはトイレ,シャワー洗面台,テレビ,クーラー,冷蔵庫などがあります。
気をつけることといえば基本的にどこでも水道の水は飲めないのですが,部屋のシンクの方の水は茶色の水がでる事があるので,あまり使わない方がいいです。
あと夏休み中はクーラーがあるのでいいのですが,冬休みになるとオンドルもつけてもらえないのでかなり寒いそうです。

食生活についてのアドバイス,おすすめの食べもの

韓国といえば辛い食べ物が多いので,辛い物が好きな人はいいのですが苦手な人は初めはあまり無理をしないほうが良いです(お腹を壊すかもしれないので)。
辛くない料理もちゃんとあるので,みんなに辛いものは食べられないと言えば配慮してもらえますし,少しずつ食べていればそのうち食べられるようになりますよ。お酒に関しても同じ感じでした(笑)韓国料理は種類も多く大体おいしいので特におすすめしなくてもハズレはないと思います。外食や出前は日本よりも安くて量が多いです。
長期休暇中は寮の食堂も休みです。外に食べに行ってもいいし,出前をとってもいいし,部屋には電気式の調理器具や鍋,フライパン,包丁などもあるので料理もできます。共同の休憩室では給水機で熱湯も出るし,電子レンジ,トースターもあるので食事は何とかなると思います。

服装について,暑い・寒い・TPOなど

夏でも日陰は寒いです。着脱が楽な服を持っているといいと思います。学校に実習にも行きましたが,私服で大丈夫です。みなさん,普段は気楽な格好をしていますが,パーティなどのときはかわいらしい服を着るのでその準備もあるといいと思います。
服については必要ならばこちらで買うこともできるのでそれほど気にしなくても大丈夫です。Tシャツなどなら日本よりも安く買えます。日本からの交流学生が来る際には教育実習があるので,スーツがあってもいいと思いますが,女の子ならスーツでなくてもちょっときれいめなスカートとブラウスがあればそれで十分です。体育の授業や寮の中での普段着としてジャージやスニーカーはあるといいです。夏も冬も気温的には名古屋とそれほどかわらないです。

習慣の違い,マナー,対人関係,犯罪などのトラブルで注意すべきこと

まず,竹島問題もありますし,韓国と日本の戦争に関する知識をある程度つけていくことが望ましいです。豊臣秀吉のころの朝鮮出兵と,韓国併合のころの2点をウィキペディアでもいいので調べて読んでおくといいと思います。あと晋州に関しては晋州城や論介(のんげ)について知っておくといいと思います。
日本の歴史教育に関心があり聞いてくる人もいるので,まったく知識がないのは逆に危険です。

あとこっちでは韓国の携帯を使っているので,留学に来たばかりのころは,なぜか知らない人からよくメールが来ました。韓国の学生は本人の了承無しに携帯番号を他の人に教えてしまうからなのだそうです。唯一の留学生ということで興味を持って親しくなりたいと思ってくれるのはいいことなのですが,人づてに番号を聞いて突然メールを送ってくるので,そういうことが気にならないなら良いのですが,日本と同じで注意はしてください。(中には突然メールを送っておいて名前を聞いても教えてくれない人もいましたので...)

日本から持参するとよいと思われるもの

パソコンや電子辞書は必需品です。ドライヤーやヘアアイロンは変圧器を使っても使えなかったので先生からドライヤーは韓国のものをお借りしました。LANケーブルは部屋にあるのでいらないです。電圧もパソコンはそのままで使えるし,変圧器はデジタルカメラの充電くらいしか使わないと思うので,一つあれば十分です。プラグの差込口の変換はこちらで安いものがあるので日本で買う必要はないです。
あとあるといいものは薬やUSBや,韓国のガイドブックでしょうか。あと薬以外でも薬局で買える物の類は日本より2倍くらい高く,質も日本のほうが良いので,気になる人は日本から買って行っても良いかもしれないです。

おすすめのお店,場所,スタッフ・先生など

晋州市には南江という川があります。川の両岸には散歩やランニング用に整備された道と運動器具もおいてあるので,早朝や夕方になると若い人からお年寄りまで運動をしています。軽い運動をするにはおすすめです。

言葉で困りましたか?どのくらいで慣れますか?

チューターさんをはじめ学生や先生の中に日本語がかなりできる人がいるので,留学に来たばかりでも生活はできます。言葉で困ったかといわれれば今でも常に困っていますが,日本では教科書での勉強ばかりで実際に会話した経験がほとんどなかったので,来たばかりのころは文字で会話できるメールならともかく,話すことも聞くこともほとんどできずに英語を使うこともよくありましたが,少しずつ友達との普段の会話用のフレーズも覚え,夏休み前には頭で文を考えながらなら話せるようになり,半年くらいすると,とりあえず日本語から文を考えなくても知っている単語・文法で言いたいことは一通り伝えることができるようになりました。
語学力はあればあっただけもちろん望ましいですが,文字が読み書きできて,挨拶が使える程度でも何とかなりますし,初めから韓国語で生活したければ初級程度までできれば良いと思います。私はハンダ体は使えなかったので知識だけなら初級の真ん中くらいだったと思います。語学ができてもできなくてもそれなりのレベルにあった生活手段があると思います。

留学生活中はアルバイトをしましたか?

知り合いに日本語を教えるアルバイトをしています。日本語に興味のある人が多いので,日本語の授業をしてくれと頼まれることも多いと思います。

留学中に行くべき,おすすめ観光スポット

晋州ならもちろん晋州城が一番有名です。10月には南江でお祭りも行われます。あと湖や動物園,遊園地もあります(小さいけど)。
大学にいる学生は晋州以外の学生が多いので,友達の家に泊めてもらったりしてソウルや釜山に遊びに行ってもいいと思います。

留学先の情報収拾方法(出版物,webサイト)

私が持って行ったのは『地球の歩き方』です。ソウルなどでの地下鉄の乗り方や,晋州から金海空港までの行き方もそれで調べられました。
ハングルが使える人なら韓国について調べたいものがある場合naverを使うといいと思います。ただ全部韓国語なのでちょっと大変です。

大学生活について

留学先おすすめの授業・履修方法

1学期はほとんど授業がありませんでした。担当教官の奥さんから韓国語を習ったり(週2回)ネイティブの先生の英語の授業を取ったり,美術をしたり,家庭科の調理実習をしたりしていました。
2学期は韓国語の授業はなく体育,美術,音楽,韓国文化理解(留学生のための特別授業)の授業を取りました。基本的に言語を使わなくてすむものばかりです。

1学期はチューターさんと同じ授業を中心にとったので教官に説明をしてもらうのも任せていましたが,履修の際はまず担当教官と時間割を決め,それからその授業に行って授業をする先生に履修したい旨を伝えればそれだけで大丈夫です。
時間割にある授業に関しては成績を出してもらわないといけないのでちょっと説明が大変なのですが,時間割にない授業もやりたいものがあれば参加が可能です。その場合はただ聴講したいとだけ言えば,成績は必要ないのでそのまま聞くことができます。

勉強についてのアドバイス

前にも書いたとおり韓国語の授業はあまりないので,自分で動くことが大切です。
外部の大学に外国人向けの韓国語授業を受けに行ってもいいし,日本語を勉強したい友達がいればその友達と言語交換をしても良いし,チュ-ターさんにお願いして授業をしてもらってもいいと思います。自分ひとりではやはりやる気がおきにくく大変なので,誰かと一緒に勉強したり韓国語能力試験を目標にしたり動機付けをして勉強するのがいいと思います。

コンピュータ,インターネット使用環境

寮の部屋で普通に日本から持っていったパソコンがLANケーブルをつなげばそのまま使えます。韓国語を入力するのにはキーボードの設定をいじればいいのですが,私のパソコンはなぜかダイアログボックスのハングルが文字化けして読めないので,韓国サイトに登録するときだけ友達のパソコンでやってもらいました。

留学先で,どのようにして現地の学生と交流を深めたか?(できる限り具体的に)

色々な行事に参加するのが一番です。私は渡航時期が遅かったので無理でしたが3月初めから行けば,3月中に1年生と2,3,4年との飲み会がありますし,ホッスルというダンス大会に一緒に出るのも楽しいと思います。MT(学年単位の親睦旅行)や3年生の卒業旅行に参加するのもいいです。

とにかくいろいろな行事に参加して,一緒にお酒を飲めばすぐに交流は深まると思いますよ。でも韓国の学生はとにかく酒に強いので飲みすぎには注意しないといけません。

どこの国からの留学生がいますか?日本人の留学生はいますか?

前にも書きましたが他の留学生はこの大学には居ません。

健康・医療関係

留学時に必要とされた予防接種の種類・回数・費用

名鉄病院に行けば予防接種専門の科があるので,そこの先生に行き先と期間を言えば何が必要かすべて教えてもらえます。母子手帳など持って行かなければいけないものや,予約無しの外来患者を受け付けてくれる曜日と時間が決まっているので先にインターネットで確認をするといいと思います。
私の場合三種混合(4000円)健康診断(4500円)採血をまず受けました。採血の結果が出るまで1週間ほどかかるのでその後ツベルクリン(3500円)を受け2日後にツベルクリン反応を見てもらいました。反応があればその日に胸部レントゲンを撮るのですが私は反応がなかったのでそのままポリオ(いくらか忘れました)を受けて終わりました(半年以上前なので名前や金額など正確かどうか分かりませんが,こんな感じでした)。

健康管理あるいは衛生面について特に注意すべきこと

生水を飲まないこと。給水機があちこちにあるのでそこの水を飲んでください。
あと晋州は特に気温の変化が激しいので,今年は9月の中旬に夏から1週間で突然冬になったような感じでした。体調管理に気をつけてください。

留学中に病院へ通った経験の有無,医療費など

病院には行きませんでした。

留学前に入った保険

保険は韓国で入りました。国民健康保険公団の保険で月に31110ウォンでした。

留学後

留学後,日本にきて困ったこと

留学中に和室が改装になっており,ロッカーに入れていたものが廃棄されてしまったこと。事務的な連絡があった場合,確実に伝えてもらえるよう先生か友達に頼んでおけばよかったのですが,まさかそんなことがあると思わず盲点でした。
奨学金を1年停止してもらった状態で留学したので,再開のための書類を2月中に出さなければならず帰国後あわてて申請しました。その際定期券の発行証明書も作ってもらったのでよかったですが学生証が3月末までなので,それを過ぎてから学校に申請すると証明書がもらえず定期券が発行できないところでした。ちなみに学生証の再発行のための書類は自宅に送られるとのことでしたが,4月5日現在まだ届いていないのでいつ学生証が更新できるかわかりません。

おすすめのおみやげ

インスタントのジャージャー麺やお餅の入ったチョコパイなど日本にないものが喜ばれました。普通に韓国のりやマッコリもいいと思います。あとハングルができる人にはハングルのシールが人気でした。

帰国後の履修について

私は教員免許を取得予定だったので必修の教育科目を2つと教科教育科目を1つ,さらに卒論のための授業を履修する予定です。
3年までにほぼ必要単位を履修していたので,4年の必修のものだけで単位数は大丈夫でした。

最後に

留学前と留学後にどのようなギャップがあったか

留学中はほとんど独学の韓国語の勉強ばかりだったので,普通の授業の感覚も英語も日本語教育の知識もだいぶ忘れてしまいました。そのため帰国直後は周りから置いて行かれたような焦りや,ちゃんと次の1年で卒業していった友達のように進路を見つけられるかといった不安も感じました。

留学してよかったですか?

もちろんよかったです。いい友達もたくさんでき,楽しいことも大変なことも含めていい経験ができ,韓国を知ることで一つまた日本を知りました。
1年間で身につけた韓国語の力はもちろん,この留学の経験も自分の自信になると思います。

留学を終えての感想

初めのころ私は留学を語学の勉強と考えていました。友達をつくって一緒に遊んだりご飯を食べたりするそんな表面的な楽しさ和やかさを想像していました。これらが嘘だったというわけではありません,もちろん実際に勉強したり遊んだりしていました。

うまく説明できないのですが,付き合いは個人的なものなのにその中には必ず日本人である自分がいて韓国人である相手がいました。表面的には韓国も日本も韓国人も日本人もそれほど違いはないように思えます。しかしちょっとしたところに考え方や行動の中に韓国や日本が隠れています。
そして人は私に友好的でしたが,韓国は常に私に友好的というわけではありませんでした。観光地に行く度に目にする日本と韓国の歴史は,日本人が忘れてしまった,知らせることをやめてしまった事実があることを,そして今の韓国と日本の友好関係がここ数年の努力の結果だということを教えてくれました。小学校にもあがっていない子供たちに「日本嫌い」と言わせるような空気が根強く残っていることをしりました。
そんなときいつも私は個人ではなく日本を背負っているような気持ちでした。こういう気持ちは日本の中にいるときはたとえ外国人と接していても感じることのできない気持ちでした。 留学とは個人的交流だけではなく,常に自分の中の国どうしの交流だったと思います。そしてこの1年間で私は言語だけでなく自分の中の日本についてもいろいろ知ることができました。

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