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子育てに関するQ&A

子育て中の親御さんからの質問に,専門家(本学幼児教育講座教員)がお答えします。

教育・習いごと

我が子に幼いころからたくさんの経験をさせてあげたいという思いは多くの親御さんがもつものだと思います。家庭と園以外にコミュニティをもつことは刺激になりますし,世界を広げるきっかけとなります。また,親御さんがいくら言い聞かせても聞き入れないことでも,習い事の先生から言われると聞くということもあるかもしれません。そのように考えると,核家族化が進む現代において習い事の先生は,子どもの成長に関わる第三者として必要な存在かもしれません。しかし,いずれにしても習い事は本人が楽しく通っていることが大前提だと考えます。習い事に行く前と帰ってからの様子を見ると共に話を聞くことを通して,「この習い事は我が子にとって必要な経験であるかどうか」を判断し,無理強いさせないことが大切なことではないでしょうか。


絵本は情操教育にいいと耳にしたことがあるかもしれません。絵本の種類はたくさんありますが,想像することを楽しんだり,友達と仲良くすることや生き物を大切にすることを学んだり,生活習慣を整えたりするきっかけになることもあります。しかし,子どもはもともと「絵本に興味をもつタイプ」と「図鑑に興味をもつタイプ」に分かれると言われています。絵本がつくりだす世界に想いを馳せることが楽しいのか,乗り物や動物などの図鑑を見てリアリズムを楽しみたいのかはそれぞれ違いますし,子どもがどのような楽しみ方をしているのかについて,本当のところは大人には分かりかねると思います。どちらが好ましいかということではありませんので,興味をもって読みたいと思えるものを渡してあげることが最善と考えます。


小学校からの勉強にスムーズに移行できるように「長時間きちんと座ってお話しを黙って聞けるようにする」「読み書きはほぼ完成状態にする」など,様々な取り組みをする園もあります。確かに小学校では長時間椅子に座り,やりたくないなと思うことでも静かに行わなければならないことが増えるでしょう。それを考えると園でも練習して欲しいと思われるかもしれませんし,勉強ができる子を見ると焦りを覚えるかもしれません。しかし,「長時間きちんと座っている」「黙って話を聞いている」という姿が,好奇心に満ちており様々なものに心が奪われるという幼児期本来の発達に即しているかというと疑問が残ります。また,幼児期に九九やひらがなを習得したとしても,小学校以降にそれらを学んだ子どもと最終的な能力に大差はみられません。人間には,歩くことや字を書くことなどを習得するのに最適な時期があります。早期に訓練することによって能力が引き上げられるというわけではありませんし,幼児期にはこの時期にこそ育てるべきことがあります。それは,目には見えにくくて成果としてもはっきりと現れにくい,「やりぬく力」や「遊び込む力」や「自分と他者を信頼する力」などです。自分のやりたいことを見つけて主体的にものごとに取り組む力を育むために,幼児期ではこれらの力を大切にしたいものです。


子どもの言動・くせ

イヤイヤ期とは親御さんからすればやっかいな時期で,できれば何事もなかったかのように過ぎて欲しいと願うものかもしれません。しかし,人間の脳の発達過程からすると避けることが難しいものなのです。2歳前後の子どもの脳は,嫌悪感を覚える「偏桃体」という部分の発達に比べて,欲求を抑える働きをもつ「前頭前野」という部分は発達途上にあります。そのため,自分の思いが通らなかった時のモヤモヤが怒りとなって出てきた後はそれを抑える機能が働かず,ひたすら「なんだかとにかくあれもこれも納得がいかない!」という状態になるのです。成長とともにこの状態が消滅するのは,前頭前野が発達したことと,自分の思いを言葉で的確に表現できるようになったことが大きなきっかけと考えられます。要するに,脳が発達するのを待つことに尽きます。ただ,頭ごなしに怒ることは気をつけましょう。この時期の子どもの脳は,なぜ怒られたのかという理由を理解できないまま,怒られた際の恐怖のみを感じてしまいます。また,怒ることで一時的にその言動が収まったとしても,欲求を抑える機能の発達は促進しません。イヤイヤが続く我が子とずっと一緒に過ごすことは精神的に疲れることと思いますが,脳の発達と共に収まるので,成長を待ってあげられるといいですね。


まず,どうして,子どもの「指しゃぶり」「指吸」が心配になるのでしょうか。
ちまたで言われていることを整理してみますと,こんな感じでしょうか。
歯並び,咬み合わせが悪くなるのでは
指だこができる
爪が薄くなる
ばい菌が体内に入って病気になるのでは周囲の視線,他の子は指しゃぶりをしていないからカッコ悪い
何か精神的な不安や強いストレスがあるのでは
育児がまずいのでは
発達の遅れがあるのでは

1歳半ごろか3歳過ぎまでの指しゃぶり・指吸は正常な発達の範囲と言われており,周囲に指しゃぶり・指吸をしていない子が多くても気にしないで見守ってください。気づいたら叱ったり,絆創膏を指に貼ったりしても,4,5歳ごろまでは何をやってもダメだったと話す親御さんが多いようです。

「歯並び」「咬み合わせ」ですが,その影響は永久歯が生え始める5~6歳以降です。5~6歳以降でも,個人差がありますが,急激に歯並びに影響するとも言えません。けれど,ということは,やはり5歳頃にはやめられると良いとは言えます。

では,どうしたらよいのでしょうか?

一番重要なことは「絶対に叱らない」ということです。

指しゃぶり,指吸がやめられない原因の多くは,不安を感じたりしていたり,精神的なストレスを抱えていたりするケースがほとんどです。これらは「愛情不足」とは限りません。

4歳ごろになると,語彙が増えてきているのに気持ちをうまく伝えることができないというストレスを感じることもあります。また,親の様子や人との関わりにも関心がいき不安を感じ取りやすくなります。本人に聞いても理由や原因はわかりませんし,本人も意識できていないことが多いようです。不安を感じやすい子どもとも言えます。

ですから,強く注意したり叱ったりすることで,より一層不安定になってしまいがちです。病的な原因による指しゃぶりはほとんどありません。小学生になっても続いている子もいますが,自分でも気がつかないうちに指が口に入っており,その後反対の手でそれを隠すように覆う仕草をする子どももいました。不安だから吸うというよりも,吸うと少し落ち着くのでしょう。けれど,いつの間にか見られなくなりました。

眠たい時,甘えたい時,遊びに飽きた時などにする場合は,気をそらしてみてください。手を握って一緒に寝る,抱きしめる,何かに集中したりできるような手先を使う遊びを取り入れる,外遊びをして外からの刺激を増やすことも有効です。

そして,子どもが少しの時間でも,指を吸うことを我慢していたら,たくさん褒めてあげましょう。


2歳児と上手に接するために,まずは2歳児の特徴を知ることが大切です。2歳児は,身体がそれまでの赤ちゃんらしい体形から幼児らしくスマートになってきます。身体の動かし方も上手になり,言葉もたくさん覚えて,自分自身が思うような行動や自己表現の幅を広げていく時期でもあります。

まず,身体の発達についてみてみると,運動能力が発達して,歩くことが楽しくてたまらない時期でもあります。走ったり,手を使わずに階段の上り下りができるようになったり,しゃがむことができたり,両足でジャンプもできるようになったりします。さらに少しの高さのあるところを跨いたり,つま先立ちもできるようになったり,ボールも蹴ることができるようになったりします。できることがどんどん増えることから,自信がだんだんついてきて「自分がしたい!」「自分でしたい!」という気持ちが湧き出してくる時期でもあります。

次に,言葉の発達についてみてみると,語彙の量が増えて,どんどん話せる言葉が増えていく時期でもあります。この時期は,「言葉の爆発期」とも言われるくらいです。目で見たものを言葉で表現できるようになったり,二語文や三語文を話すことができるようになったり,自分の気持ちも言葉で表現できるようになったりします。

このように身体や言葉の発達が見られる一方で,思い通りにいかないときに泣き叫んだり,何でも「いや!」「自分でやる!」と主張したりします。いわゆる「イヤイヤ期」「第一次反抗期」とか「魔の2歳児」とも言われる時期でもあります。一見すると単なるわがままのようにも見えますが,子どもたちの自我や自立心が発達している証拠でもあります。

この「イヤイヤ期」が起こる要因としては,自我や自立心が発達している以外に,身体を動かす機能が発達途上でやりたいことが上手くできないこと,言語の能力が発達途上で上手く表現できないこと,欲求や衝動を抑える脳の機能が未熟であることなどが挙げられます。つまり「イヤイヤ期」は,子どもたちの身体・心・脳が成長している途中の時期なのです。何でもダメと一方的に叱ったり,ダメである理由を曖昧にして「ダメなものはダメ!」「いい加減にしなさい!」と言って叱ったり,約束したことを破ったり,子どもを怖がらせて言うことを聞かせたりすることは避けたいものです。さらに,逆に,子どもたちの要求を聞き過ぎて言いなりになったり,何かを買ってあげることで言うことを聞かせたりということも良いことではありません。

この時期の子どもたちと接するにあたっては,身体や運動能力の発達を促してあげること,言葉の発達を促すように積極的に言葉掛けをすること,しっかり分かるように説明してあげること,子どもたちが見通しの立てられるように言葉掛けをすること,子どもたちがやりたいと思っている要求を認めてあげること,子どもたちがやりたいと思っていることに対して時には支援してあげること,子どもたちができたときに褒めてあげることが,とても大切です。

今回の遊具の場面では,遊具を人と分け合うのが苦手と考えるのではなく,子どもさんの自我や自立心が発達している時期であると考えてみましょう。その上で,貸し借りが難しい場合には,友だちの気持ちを代弁しながら,他の遊具や遊びに誘ったり注意をそらしたりしてみてはどうでしょうか。そして遊具を貸してあげられたときには,「貸してあげられて偉かったね!」「すごいね!」としっかり褒めてあげることがとても大事です。そうすることで,その後の行動にも繋がっていくことと思います。何よりも大切なことは,2歳児の特徴を理解して接することと子どもさんの気持ちに寄り添ってあげることです。


このような甘え行動のようなものはどこまで受け入れていけば良いのか判断に迷い不安になりますよね。

お子さんの年齢が2歳11か月ということで,まだまだ甘えたい時期ですのでやめさせる必要はないと思います。特にこれといった目安はありませんが,ほとんどの場合,子ども自身が恥ずかしいと思うようになるなど,心の成長とともに無くなってくると思います。ただ,何かしらの理由でお子さん自身が不安になっていたり,困っていたりすることに起因して,膝の上に座って食べるという行動が出ているなどの原因がある場合もあります。どちらにせよ,今の時期はしっかり甘えることが大事なので,しっかり甘えさせてあげてください。


お子さんが思うように食べてくれないと栄養面でも成長・発達面でも心配ですよね。

お子さんの年齢がわからないのですが,少しずつ食べられるものも増えていきているということなので,本人なりにも頑張っているのだと思います。気まぐれで食べる時と食べない時があるということは誰でもあることですので,あまり神経質にならなくても良いと思います。発育曲線から大きく外れる場合については一度医師に相談してみる必要もあるかもしれませんが,お子さんがすぐにお腹が空いたと訴えたり,日中も元気がなかったりしないのであれば必要以上に心配することもないと思います。

できることとしては,まずは外で体をしっかり動かすことです。体を動かしエネルギーを消費すると自然とお腹が空いてくるようになります。そして,お子さんの味や食感の好みを把握するだけでなく,食事を楽しむことのできる雰囲気づくりが重要だと思います。保護者として食べてほしいという思いがお子さんにとってプレッシャーになっている場合もありますので,まず食事を楽しむことを第一にして,残してしまっても「今日はお腹いっぱいになっちゃったんだね」とさらっと片づけ,様子を見てみてはどうでしょうか。

そのような対応では,食べなくても良い,残しても良いんだと思う子どもになってしまうのではと心配される方も多いですが,食べたくないという思いをママやパパが受け入れてくれたという経験を積み重ねていくことで,心が成長してくると少しずつ頑張って食べてみようと思ったり,食べられない場合は,自分なりの見通しをもって減らしてもらったりするなど,自身での対応方法を学んでいきます。


2歳過ぎから言葉も増える時期になりますが,話さないと不安になりますよね。

「話さない」と言っても,絵本を読み聞かせていると「アッ!アッ!」と指さしをしての発声はあるのか,「パパ」「ママ」などの単語は話すことができるのか,程度にもよりますが,言語面も非常に個人差が大きい部分になります。

言葉の発達については,聴覚や口腔内の機能的な問題,知的な発達の問題など様々な原因があり,それによって対応も変わってきますので,もしご心配であれば,一度発達相談を受けてみることをおすすめいたします。


子育ての相談の中でも圧倒的に多いのは「食」に関する相談のようです。

味には,甘味,旨味,塩味,酸味,苦味の5つの基本味があり,それらの味を,口内全体や舌や喉などにある「味蕾(みらい)」という器官で感じとります。子どもには,もともと苦手な味があります。苦味や酸味を感じる野菜や,酸味の強い果物などは苦手です。ピーマンやほうれん草など,噛むとえぐみや苦味が出る野菜を含みます。それは,苦味や酸味が生体防御の判断として「危険」を感知するからです。何度も経験することで徐々に慣れていく味なのです。

また,偏食の原因は「味」だけではありません。食感,舌触りから,子どもが偏食してしまう場合があります。硬い,大きい,ゴロゴロする,ニュルニュルするなどの物理的な要因から食べづらいと感じるケースもあります。また子どもの咀嚼力に合わない大きさや硬さが食べづらいために,特定の食品を避けることもあります。酸味のあるみかんでも小袋をむいて一口サイズにすれば食べるのに,小袋が付いたままだと嫌がるようなことは,子どもとして当たり前なのです。食べないからといってすぐに嫌いと決めつけずに,苦手な食材は食べやすいように切り方を変えたり,細かく刻んで好きなものに混ぜたり,固さを調整したり,だしや調味料を使ってえぐみや苦味を和らげるように工夫してみましょう。匂い,色彩,温度も影響することがあります。白い白菜は,お子さんにとって美味しそうに見えていないかもしれません。

さらに食べ物に対する不快な経験があると口を付けなくなることがあります。食材を食べた際に何かの拍子に気持ち悪くなったり,虫歯によって不快感を感じたりといった偶然の経験が偏食のきっかけになっている場合もあります。

もう一つ,味覚の発達という点から考えてみましょう。

0~1歳頃の赤ちゃんは,離乳食を通してさまざまな味を,食感,舌触り,温度,匂い,色彩などの五感で感じながら,「おいしさ」を知っていきます。

2~3歳頃になると自我が発達するとともに,食べ物の好みを主張するようになります。味だけで「おいしさ」を判断するのではなく,食事のときの環境やからだの状態,五感で感じる体験など,あらゆる情報が積み重なって好き嫌いを判断するようになります。「味」は舌から受け取りますが,「おいしさ」は,味とともに,環境,雰囲気,快や不快など,それまでの食の経験が総合的に合わさり,脳が判断します。

お母さんが「食べてほしい」という気持ちで頭がいっぱいになってしまうと,つい,口調や表情がけわしくなっていて,それを子どもは敏感に察して,なおさら食べなくなることもあります。逆に「食べない」と,お母さんが必ず食べさせてくれるという状況を期待して,「嫌い」をしているなんていうこともあります。子どもの頃は,特に記憶による影響を受けやすいため,食事のときは楽しい経験を増やしてあげることが大切です。食べてほしい気持ちは少しおいておき,親が楽しくおいしそうに食べている姿を見せることも有効です。まずは,そんな感じで少し肩の力を抜きましょう。

「天気のいい日に外で食べた」「ママとパパと一緒に食べたら嬉しかった」「食事のお手伝いをしたら楽しくて,そのときのものがおいしかった」というように,良い経験と合わせて好きなものが増えていくこともあります。「食べてくれない」「好き嫌いが多い」と子どもの食事で悩んだら,食事の環境を整えて,食べることは楽しい!と感じるきっかけをつくってあげるのも,大事な作戦です。今日,明日,という短期的な成果を期待しすぎず長期的に見ていくことが大切です。


6歳差ですと,上のお子さんはなかなか怒るに怒れず,もやもやした気持ちを溜めることも多いのではないでしょうか。下のお子さんを叱っても仕方がないという親御さんの気持ちも分かりますが,それをお兄ちゃんに理解してというのも難しいですね。

対策というほどでもないですが,例えばお兄ちゃんには具体的なトラブル回避策(おもちゃの片付け方法など)を伝授するのも良いかと思います。また,弟さんに対しては,悪いことをした時にはそれなりにちゃんと「ダメだよ」と叱ることも大切だと思います。これはお兄ちゃんに対して決して一方的に我慢をさせていないというメッセージの意味もあります。

とは言え,我が家でも日常的な光景でしたので,その度に下の子と一緒に,上の子に謝って許してもらいました。そして,お兄ちゃんからおもちゃを貸してもらったときは,大げさに「ありがとう!」と弟さんと一緒に感謝を伝えていました。

感情的な側面と実務的な側面の両方からフォローしてあげることで,少しずつ兄弟なりの付き合い方を学んでいくと思います。


ストレスをうまく処理できない際に嘔吐中枢が刺激を受け,実際に嘔吐するという現象がありますが,これは,極度の緊張状態に置かれた際に吐き気をもよおす等,大人でも起こる症状です。いただいた相談では,「食べ過ぎが要因となった嘔吐」と「抵抗や意思表示としての嘔吐宣言」について書かれていますが,この二点に関連があるのかどうかは不明です。もし関連があるとすれば,以前食べ過ぎて嘔吐した際に優しく介抱されたことが心地よい記憶として残っており,ストレスを感じた際に「優しくしてほしい」と無意識に感じて「ゲポする」と言っているのかもしれませんし,逆に自分が嘔吐したことで相談者様が困っておられ,その様子を記憶していて,「この嫌な状況を無くしてほしいからちょっと困らせたい」と無意識に思っているのかもしれません。

もちろん関連が無いとも考えられます。その場合は,緊張状態やストレスなどの不快な感情が誘因となって起こった気持ち悪さからくるものだと思われます。実際に嘔吐することもあれば,吐き気だけで嘔吐までいかないこともあります。原因となることがはっきりしていれば,それを除外することで本人も周囲の人も余計なストレスを感じることがなくなることが多いと思います。いずれにしても「嫌だ」と感じること全般がストレス源となっているようなので,「ゲポする」と苦しそうにしていたら,なるべく気をそらすような声掛けをしてあげてください。必要以上の心配や共感は余計に不安をあおることに繋がりかねません。ただ,気持ち悪さを感じているのは事実ですので,「気のせいでしょ」とか,「また言っているだけだよね」という態度で接してしまうと子どもも傷つきますので,その点だけ気を付けていただければいいと思います。


その他

子どもに「悪さ」はつきものです。親を悩ませるのは,それがどんどん変わっていったり,どう対処してよいかわからないときが多いからですね。

「悪さ」にも年齢によって傾向があります。

1~2歳は,悪いとわからないでする段階です。試すかのように,モノを投げたり,壊したりと悪意のない悪さを始めます。親は躾をし始めます。けれど,それまでは,おもらしをしても,泣き叫んでも,叱られることはなく許されていたのに・・・と,子どもは初めて葛藤します。親も,他人にすごく迷惑かけていないのにと感じて,叱ることが辛いと感じます。どこまでならやらせてあげようかと考えますし,子どももどこまでは言うことを聞こうかと,お互いに少しずつ擦り寄らせて,「良い」「悪い」の判断の基準を作っていきます。1歳過ぎるまでは,親は,全てを許して信頼関係,愛着関係を大事にしましょう。1~2歳での葛藤の時期では,絶対的な基準で「良い」「悪い」の答えを性急に出さずに,子どもに寄り添って考えて伝えるようにしましょう。

3~4歳になると,親との関係だけでなく,幼稚園や保育園でお友だちとの関係が生まれます。親のようなわけにはいきません。相手のすることもなかなか理解できないし,自分の思いは通じないし,許されないことが多く,すごく葛藤します。もどかしい思い,イライラが「悪さ」につながります。「良い」「悪い」を,どうしたら楽しく遊べるか,楽しく過ごせるかと考える中で気づく時期です。社会的な善悪を学び始める時期とも言えます。お友だちとの関係の中で,子ども自身がどう考えて行動するのかを見守ってあげましょう。

さて5歳以降です。「2歳のイヤイヤ期」「魔の3歳児」「4歳の壁」を乗り越えてきますが,「自覚的な悪さ」が多くなります。「ちょっとした注意をしただけで,倍返しで口答えしてくる」「わざと,わざわざ弟を泣かせる」などの態度が目立ったりします。「良い」「悪い」がかなりはっきりわかってする段階です。「自分自身で考えて行動したい」という気持ちが満たされないとき,反抗的な態度が「悪さ」になります。これに対しては,大人はしっかりと向き合うことが必要になります。ただし,本人にもわかりかけている「悪さ」ですから,頭ごなしに叱ってもダメです。「自分ひとりでやってみたい」「自分がしたことが喜ばれている」と感じられる「良い」行動を促し,「悪」の気持ちを膨らませないようにしましょう。


愛情溢れるご両親の子育ての心情,とても素敵ですね。

「我が子には,不条理な目に遭わせたくない,怖くて辛い思いもさせたくない,できるだけ困難の少ない幸せな道を歩んでほしい」と親なら誰もが願うことですが,現実には「部活や社会に出て大きな声で怒鳴られたり,理不尽に叱られたりすること」を全く避けることはできないでしょう。そんななかで必要なのは,困難を避ける術ではなく,困難にあっても,それを乗り越え,そこから回復する力です。その力をレジリエンスと言います。

レジリエンスは,親が与えたり育てたりできる力というより,子どもが,自分の経験の中で,自分で育てていく力です。ただ,その力を生み育む土台は「愛着」です。「愛着」とは,アタッチメントの訳語ですが,子どもたちが恐れや不安などのネガティヴな感情を経験した時に,身体的にも心理的にも,特定の誰かにくっつきたい,近くにいたいと強く願う欲求,くっつこうとする行動の傾向を意味します。子どもは,少しの間でも一人で置いておかれたり,初めての人に会ったり,転んで痛い思いをしたりしただけでも,恐れや不安を感じます。すると子どもは,親に泣きながら駆け寄ったりしますよね。くっつくことで,その恐れや不安の感情から立ち直り,元に戻ることができるからです。

また子どもは,自分の思い通りにならなかったりして,恐れや不安のようなネガティヴな感情が生じると,信頼できる親のいる,必ず慰めてもらえる「安全な避難所」に駆け込もうとします。一方で感情が落ち着いている時には,親を「安心の基地」とし,その基地を拠点にいろいろなことにチャレンジします。もちろんチャレンジと言っても,小さな子どもであれば,生活や遊びの中でのちょっとした新しいことへの試行錯誤です。ただ,この基地がしっかりしていれば,自分一人で何かができるという自信をつけることができます。親にしっかりとくっつき安心感を取り戻し,外の世界へと出ていくことができるのです。

もうお分かりですね。ご両親の穏やかで愛情溢れる心情や振る舞いこそが,「安心の基地」「安全な避難所」となっているのです。ですから,お子さんは,不条理なこと,怖くて辛い思いに遭遇することがあっても,心の中に「安心の基地」「安全な避難所」が築かれており,きっと自分の力で乗り越えていけることでしょう。

もう一つだけ。例えば,子どもが「いやなことを言われた」と泣きながら帰宅したとき,「安全な避難所」「安心の基地」となる親は,どんなふうに接してあげたらよいでしょうか。「気にしない,そんなのは気にするだけ損」「お母さんとお父さんが抗議してあげるから!」???ではなく,「いやなことを言われた」ことに対しては,「気にしない」と流してしまわずに,まず「いやだったね。それは辛いね」と子どもの気持ちに寄り添い,まず「避難所」となることが大切です。相手の気持ちを感じて理解するのは「共感」と言います。「共感」されることで,子どもは,理解された安心感を得ることができます。子どもが安心感を得られたところで,具体的な解決策を提案したり話し合うとよいでしょう。ただ,話をするかどうかは,子どもの考えや思いを尊重しましょう。子どもがすぐに話したくなさそうな場合は,「いつでもいいよ,話を聞くからね」と伝えておくことに留め,穏やかな「基地」となって,しっかり見守ってあげることも大事です。


フルタイムで勤務している中で,これだけ子どものことを大切にして接していることはなかなかできることではありません。素晴らしいと思います。

お子さんの年齢が2歳11か月でいわゆるイヤイヤ期と言われますが,これも個人差が大きいので心配しなくて良いかと思います。この文面ですと,言葉やスキンシップでの関わりが多いように思いますので,遊びを通して子どもと関わってみてはどうでしょうか。子どもはスキンシップだけでなく,遊ぶことで満足したり,遊ぶことを通して人との信頼関係を築いたりします。保護者の方と一緒に遊んでもらった,遊ぶことができた,ということが甘えを満たすことにもつながります。もちろん,平日の就寝前にお子さんが読んでほしい絵本をリクエストしてもらい,それを一緒に読む。保育園の保育士にクラスでよく歌っている手遊びを聞いて,家で一緒にやってみるということだけでも子どもにとってはすごくうれしいことです。保育園でも同じ絵本や手遊びが出てくると「これママとパパとに読んでもらった!」「パパとママと一緒にやった手遊びだ!」と思うことができ,うれしそうにしている子たちもたくさんいます。是非,実践してみてください。


コロナ禍がこのように長く続くとは,ほとんどの人が思っていなかったのではないでしょうか。長期間に亘るさまざまな制限や我慢のために,多くの人々がストレスを感じていることと思われます。人々がストレスを感じている状況が続くと,いろんなところにストレスサインが現れてくると言われています。

心の面では,不安感,緊張感,イライラした気持ちが消えず,悲しい気持ち,憂鬱な気持ちが続きます。さらに無力感が続き,いろんなものに対してやる気が湧いてこないようになってしまいます。また身体の面では,食欲が出なくて痩せてきたり,寝付き悪くなったり睡眠が浅くて夜中や早朝に何度も目が覚めたりしてきます。また手や足の裏によく汗をかくようになるとも言われています。さらに行動の面では,飲酒や喫煙の量が増えたり,いろんなことに対して消極的になったりしていきます。また周囲との交流を避けるようになり,その結果さらに一人でストレスを抱え込むようになっていきます。

このように,人はストレスを感じ続けていると,心や身体,そして行動にさまざまな悪影響を及ぼします。ストレスを安易に考えたり,ストレスを感じたまま放っておいたりせずに,早めにストレスを解消させることがとても大切です。そのためには,「こまめにストレッチをする」「十分な睡眠を確保する」「甘いものを食べる」「太陽の下で身体を動かす」「親しい人と話をする」「趣味に没頭する」などが効果的だと言われています。

まず一つ目の「こまめにストレッチをする」については,軽く体を動かすことで,身体だけではなく心もほぐれて,ストレスを軽減することができます。ストレッチをするときには,呼吸は止めない,弾みを付けて動かさない,痛みを感じるまで動かさない,伸ばしている部分を意識しながら動かす,大きい筋肉ほど大きく動かすなどの点を意識しながらストレッチをしてみましょう。

二つ目の「十分な睡眠を確保する」については,睡眠は身体の休息だけではなく,脳を休ませてくれると考えてみましょう。十分な睡眠を確保して,脳をしっかり休ませてあげることで,身体の機能を調整してくれる自律神経やホルモンのバランスが整えられると言われています。必要な睡眠時間は人によって異なりますが,一般的には6~8時間程度がよいとされています。睡眠時間だけでなく,一日のうちの何時から何時まで眠っているか,また寝具などの睡眠環境も重要になってきます。

三つ目の「甘いものを食べる」については,自分の好きなおやつや甘いものを食べることで,ほっとしたり気分転換をしたりといったことを,すでに多くの人が経験しているのではないでしょうか。甘いものを食べると,血糖値の上昇に伴って分泌されるインスリンというホルモン物質が鍵となってきます。このインスリンが血液中のトリプトファンという物質を脳内へ運ぶことによって,精神の安定をもたらすセロトニンという神経伝達物質が合成されると考えられています。甘いものを食べることは科学的にもストレスに対して効果があると考えられます。但し,食べ過ぎには注意しましょう。

四つ目の「太陽の下で身体を動かす」については,この場合,激しい運動ではなく,一定のリズムで反復するようなウォーキング,軽いジョギング,サイクリングなどの運動がお薦めです。一定のリズムで行う運動は,精神の安定や安心感をもたらす神経伝達物質であるセロトニンの分泌が促進されます。さらに太陽の下で日光を浴びることでセロトニンの分泌がより促進されると考えられています。運動の経験が少ない場合は,軽い散歩くらいから始めてみてはいかがでしょう。

五つ目の「親しい人と話をする」については,家族や友人など安心できる親しい人と話したり,心から笑ったり,さらには話をする中で何らかのストレスの解決策や良いアドバイスを受け取ったりすることで,ストレスの軽減に繋がる場合があります。

最後の六つ目の「趣味に没頭する」については,普段の仕事を忘れて趣味に没頭することで,日頃感じていたストレスが軽減する場合があります。趣味としては,音楽を聴いたり,楽器を演奏したり,絵を描いたり,DIYに励んだり,庭の草木の剪定をしたり,スポーツに励んだり,好きな映画や小説を見たり,ゲームなどの娯楽に触れたり,ドライブや旅行に出掛けたりと,さまざまな趣味があります。自分にあった趣味に没頭してストレスを解消することは,仕事や勉強と私生活との間でオンとオフの切り替えをすることに繋がり,その後の仕事や勉強への意欲も高まって集中することもできるようになります。例えば映画や小説を見る中で,大いに笑うと副交感神経が優位に働いて,安らぎを感じるようになると言われています。さらにセロトニンを分泌する神経を活性化させたり,気分を高揚させるエンドルフィンや楽しくて心地よい気分になるドーパミンといった物質を分泌させたりする効果もあると言われています。笑うことにはさまざまな効果があり,ストレスに対して大変有効であると考えられています。一方で,映画や小説に感動して泣いて涙を流すことでもストレスが軽減されると言われています。大いに笑ったり泣いたりして,感情を表に出すことが大切なのかもしれません。

コロナ禍で大変な状況が続きますが,自分なりにできるストレス解消法を取り入れて,一日一日を心地よく過ごしてみては如何でしょうか。そのときには,是非自分だけではなく,親子で何かに取り組んだり楽しんだりして,家族で一緒にストレスを解消されては如何でしょうか。


小学生くらいの子どもさんでしたら,親子で話し合ってみてはどうでしょうか。

1日あたりのゲーム,テレビの時間を決めて,
①宿題や明日の用意など,やるべきことをやってからゲームやテレビを楽しむ
②先にゲームやテレビを楽しんでから宿題や明日の用意をする など,
子どもさん自身が納得した上で選択することが大切だと思います。また,それでもルールを守れないこともあると思います。約束の時間少し前に「あと10分だよ」などと自分で気づけるように促したり,約束を守れたことをオーバーに褒めたりしてあげると良いと思います。

それでも守れなかった時はいきなり叱るのではなく,「約束を守ってくれなかったことが悲しい」と伝えたり,「明日は守ってくれるかな」と期待する言葉をかけるなどして,子どもさんが「約束を守りたい」という気持ちに持っていきましょう。

ちなみに我が家では,やるべきことをやってから1時間(ただし夜9時まで)というルールにしていますが,料理や家事をたくさん手伝った日は少しオマケすることも,子どものモチベーションを上げる効果があるようです。


0歳児のお子さんはなかなか目を離せないので,自分の時間をゆっくり取ることもきっとままならないですね。オムツ替えや授乳の合間に家事をしたりと,忙しいですね。そんな時のちょっとした暇つぶしや,気分転換にスマートフォンで動画やSNSを見たりするのは丁度良いと思います。

その一方で,スマホから発せられるブルーライトや電磁波の影響も心配ですね。わざわざ赤ちゃんにスマートフォンを触らせたいと思う親御さんは少ないのではないでしょうか。赤ちゃんが興味を持つのは,両親や兄弟,家族がそれを楽しそうに見ている,触っているからだと思います。反対に親が大して興味もないのに,むしろ子どもに興味を持たせよう持たせようとする物には殆ど見向きもしません。いつも親御さんが熱心にスマートフォンを見つめていると,きっとお子さんは「自分も触りたい」という欲求が大きくなり,やがて,よだれ付きの手で触り,さらには口に入れて舐めたり,といったことが我が家でもありました。そうならないためにも,大切なスマートフォンはあまりお子さんの目に入らないところで楽しむ方が安全かと思います。また,暇つぶしの一つの方法としてお子さんに絵本を読んであげたり,毎日変わっていくお子さんの表情を写真や動画に残したりするのも結構楽しいですよ。私の知り合いに,子どもが生まれてから10年以上,毎日必ず1枚ずつ写真を撮っている人がいます。両親の思い出にもなるとともに,お子さんが大きくなった時に見せてあげるときっと喜ぶと思います。


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