2017年11月19日 平成29年度大学改革シンポジウムを開催
2017年12月15日
本学と国立大学協会との共催により,「『教育コース』等を設置する高校と教員養成大学との連携による教育プログラムの開発に向けて」と題した平成29年度大学改革シンポジウムを,11月19日(日)に名古屋市内のホールで開催しました。
今日,高大接続改革の着実な実現に向けた検討が,国や学校現場などの各レベルで進められており,教員を志す者などが学ぶ「教育コース」をもつ高校が特色ある学校づくりの一環から漸増しています。本シンポジウムは,このような高校と,教員需要減少期の到来により存在意義や役割が問われ,機能強化が求められている国立を中心とする教員養成系大学・学部とが,連携して教育プログラムを開発するための課題を探ることを目的としており,学校現場や教育委員会,教員養成系大学・学部の関係者など,県外を含め71人の参加がありました。
本学の後藤ひとみ学長の開会あいさつの後,文部科学省高等教育局大学振興課の林剛史課長補佐から,「高大接続改革を巡る最新の動向について」と題して,高大接続改革,高等学校教育改革,大学教育改革,大学入学者選抜改革,および文部科学省「国立教員養成大学・学部,大学院,附属学校の改革に関する有識者会議」の報告書に関する,幅広い視点からの基調講演が行われました。
次いで,本学の三宅明教授から,「高校生の教職意欲を高めるために-『教育コース』等の現状調査をもとに-」と題して,先行取組のある奈良県,千葉県などの高校,教育委員会に対して行った訪問調査や,「教育コース」所属の生徒へのアンケート調査の結果報告がありました。ここでは,「教育コース」所属の生徒が,教職志望の有無にかかわらずコミュニケーション能力・プレゼンテーション能力などを向上させていることや,学校体験等によって,教職への実感や理解が,学年が進むに連れて深まっていることなどが報告されました。
休憩を挟んで後半は,「教育コース等の取り組みから高大連携を考える」と題したパネルディスカッションが行われ,佛教大学の原清治教授,神戸大学の山下晃一准教授,奈良県立高田高等学校の佐藤雅之校長,愛知県教育委員会学習教育部の荻原哲哉部長の4氏がパネリストを,本学の野田敦敬副学長,高綱睦美講師がコーディネーターをそれぞれ務めました。テーマに対し,各氏からそれぞれ意見が述べられた後,パネリスト間での議論,会場との質疑応答が行われました。その中で,教育コースをもつ高校においては進路変更する生徒の存在,連携する大学においては「教育コース」卒業のアドバンテージをカリキュラム上にどう反映させるのか,デマンドサイドの教育委員会においては採用試験に高大連携の取り組みをどのように連動させるのかという点が,今後の連携に当たっての課題であることの共通理解が図られました。
最後は,中田敏夫理事の閉会あいさつにより全体がまとめられ,参加者からは「改革の方向性の包括的な理解につながった」などの感想が寄せられました。愛知県では,平成30年度から2つの高校において「教育コース」の設置が予定され,本学もカリキュラム開発実施の検討に参画しており,今後の展開のための有効な機会となりました。
(企画課副課長 玉越貴文)