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2021年10月14日 全学FD講演会『「教員のICT活用指導力チェックリスト」を活用した教職科目等の開発及び授業改善』を開催

2021年11月02日

10月14日(木)に、本学の「教師の養成・採用・研修の一体的改革推進事業」の一環として、全学FD講演会『「教員のICT活用指導力チェックリスト」を活用した教職科目等の開発及び授業改善』を開催しました。本講演会は、令和の日本型学校教育を担う教師にふさわしいICT活用指導力を身に付けた教員を育成するため、「教員のICT活用指導力チェックリスト」を活用して、授業および教育課程の改善につなげることを目的として対面とオンラインによるハイブリッド方式で開催しました。当日は、本学の教職員、愛知県内教育委員会等教育関係者、連携先の大学・企業などから計137人が参加しました。

開会あいさつをする野田敦敬学長 開会あいさつをする野田敦敬学長

講演会では、まず野田敦敬学長による開会あいさつが行われ、本事業の狙いや、本事業が現職教員への研修の充実化へ貢献すること、そして本年3月に策定した「未来共創プラン」と関連付けて推進することの重要性に関する説明が行われました。その後、本事業の総括責任者である新津勝二理事(総務・財務担当)から「先端技術を活用したICT活用指導力を高める教職科目等の開発及び全国展開」についての概要説明があり、令和2年10月5日に文部科学省から教職課程を置く大学宛に発出された通知に関して、各大学がもっと重く受け止めて対応する必要があることなどが述べられました。

次に、東京学芸大学教育学部の高橋純准教授が、「令和の日本型学校教育を構築するための教員養成改革 ~Society5.0時代における教師の在り方について~」をテーマに基調講演を行いました。高橋氏からは、GIGAスクール構想が策定された背景や、ICT科目の新設やICT活用指導力チェックリストに基づくカリキュラムマップの作成などによる情報活用能力の育成に対応した教職課程の考え方について、中央教育審議会委員としての知見を踏まえた説明がありました。また、AIドリルなどの各教科の指導法におけるICT活用例や、ICT活用による協働と生徒一人ひとりの資質能力観を往還的に考えていくことの必要性が示されました。

続いて、春日井市立高森台中学校の水谷年孝校長が、「春日井市公立学校におけるICT活用実践例 ~教員養成系大学に期待すること~」をテーマに実践発表を行いました。水谷氏からは、高森台中学校では普段からほとんどの授業でノートパソコンなどのICT機器を使った授業を実践してきたため、オンライン授業を試行段階からトラブルなく実施できたこと、春日井市のICT活用の目的は特別な授業の実施ではなく普段の授業を改善することであり、今年度で11年目の取り組みになることの説明がありました。その中で、春日井市内の小中学校が最初に取り組んだICT活用は、授業ではなく先生たちがICTの活用により校務負担が軽減されるよう使ってみたことが始まりであったことなどが、実際の授業風景の写真を交えて紹介されました。高森台中学校に昨年導入された全生徒一人1台のGIGA端末(ノートパソコン)は、校内の模擬授業や授業研究会の実施、それらの春日井市内への発信や教員のICTの研修にも活用されており、また、クラウドを利用した協働学習や授業動画の公開などによる情報共有も行っているとのことでした。子どもたちを対象としたアンケートでは、GIGA端末が整った後、授業や学校生活がより楽しくなったという高い評価が得られているという興味深い結果も報告されました。

ICT活用指導力について説明する東京学芸大学 高橋純准教授ICT活用指導力について説明する
東京学芸大学 高橋純准教授

ICTの活用実践例について説明する春日井市立高森台中学校 水谷年孝校長ICTの活用実践例について説明する
春日井市立高森台中学校 水谷年孝校長

第2部では講師の高橋氏と水谷氏に加えて、本学の平野俊英副学長と情報教育講座 梅田恭子准教授の4人によるパネルディスカッションが行われました。まず、梅田准教授から「初年時のICT活用指導力育成の取り組みと新科目の開発」について、今後の計画も含めた具体的な説明があり、続いて平野副学長から「4年間を見通したカリキュラムマップの作成と先導的な教職科目の開発」について、概念図を用いた丁寧な説明がありました。その後の質疑応答の場面ではICTの活用は「学びの転換」による意図的なものではなく日常的な「体験」の中で自然に普及していくことが望ましいことや、デジタル教科書の活用状況、紙とICT機器の使用のバランスなどについて活発な意見交換が行われました。

最後に、本講演会の総括として、野地恒有理事(教育・学生担当)から、教育改革の推進と教職員の意識改革の醸成、そして教育委員会、大学、企業、地域、保護者との連携を強化することにより、本事業を通して学生の「ICT活用指導力の向上」を全学協力の下で成功させることが重要であると呼び掛けられました。

ICT活用例についての説明を聞く参加者ICT活用例についての説明を聞く参加者

パネルディスカッションの様子パネルディスカッションの様子

終了後の参加者のアンケートでは、「有識者と現場で実践している先生も交えてのディスカッションはあっという間に時間が過ぎてしまい、気付きがたくさんありました」「国の政策動向に加え、ICTの活用促進において本当に大事なことを学べる示唆に富んだ内容でした」「無料で視聴するのはもったいないと思うくらい充実した講演会でした」といった感想が学内外から寄せられ、ICT活用指導力を身に付けるための育成と研修、ICTの活用による授業や教育課程の改善について、大いに理解を深める機会となりました。

(教務企画課 教職キャリアセンター支援係 吉田穂波)

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