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2021年12月8日 全学FD講演会『1人1台時代の情報モラル教育 ~デジタル・シティズンシップの育成に向けて~』を開催

2021年12月28日

12月8日(水)に、本学の「教師の養成、採用、研修に関する一体的改革推進事業」の一環として、全学FD講演会『1人1台時代の情報モラル教育 ~デジタル・シティズンシップの育成に向けて~』を開催しました。本講演会は、GIGAスクール構想のもと、小中学校の児童生徒が1人1台端末を持ち、デジタル技術を積極的に利用し、社会とかかわり、自己を表現する能力が求められるデジタル社会で生きていくために、「デジタル・シティズンシップとは何か、デジタル・シティズンシップをどう指導していけばよいのかを学び、1人1台時代における新しい情報モラル教育の在り方について考えること」を目的として、対面およびオンラインによるハイブリッド方式で開催しました。当日は、本学の教職員のみならず、愛知県内教育委員会等教育関係者、連携先の大学、企業などから計125人が参加しました。

開会あいさつをする野田敦敬学長開会あいさつをする野田敦敬学長

最初に、野田敦敬学長による開会のあいさつが行われ、本事業の取り組みや、本講演会が10月に実施した「教員のICT活用指導力に関する全学FD講演会」に続く第二弾としての開催であることについての説明と、2人の講師の先生方の紹介がありました。

次に、国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの豊福晋平准教授・主幹研究員が、「デジタル・シティズンシップとは ~GIGAスクール構想とデジタル・シティズンシップについて~」をテーマに基調講演を行いました。豊福先生からは、デジタルトランスフォーメーションでは、「デジタル技術の活用で既存のモデルを再定義し、革新と新しい価値の創出(デジタライゼーション)」が行われることが求められており、教育においてデジタライゼーションが起こると、新しい学校教育モデルが教育活動全体に覆いかぶさるような形で適用されるとの説明がありました。また、工業社会から情報社会への転換点にある公教育において、ICTの利用頻度・時間・用途の拡大には、学習者中心の文具的な活用と日常のデジタル化が鍵であること、日常のネット利用を前提にして子どもの自立と参加と問題解決を促すことがデジタル・シティズンシップであること、デジタル・シティズンシップの実装は学級指導のレベルで取り組まないとうまくいかないことなどについてお話がありました。

続いて、名古屋市立白水小学校の林一真教諭が、「教育現場におけるデジタル・シティズンシップの可能性」をテーマに基調講演を行いました。林先生からは、今までの学校現場で行われていた情報モラル教育では、実際にトラブルが起きたときに外面からの予防で子どもたちを抑えているような、規制の色合いが濃くなってしまった状況があったことについて説明がありました。しかし、児童生徒を取り巻くGIGAスクール構想による1人1台端末の環境の変化においては、これからのデジタル社会を生きる児童生徒が、端末やネット環境を自身や社会のために活用できる善き使い手となれるように、市民として生きる権利のひとつとしてデジタル・シティズンシップを育む必要があることが示されました。これを踏まえて、授業の中でタブレットの良さを生かすためにどのように活用していくとよいか、自分なりの約束を考えることができるようにするなど、一方的な押しつけではなく、子どもたち自らがどう打開していくかということを行わせるような具体的な授業実践例や、係活動等を含めた学校生活全般に渡る子どもたちとのかかわり方など、デジタル・シティズンシップの子どもたちへの実際の指導方法についてお話がありました。「幅」には「制約の中で自由にできるゆとり」という意味があり、学校運営、学級運営、授業づくりの中で、先生が見守りながら子どもたちに自由度を与え幅を持たせると「福」が生まれ、子どもたちも幸せになり、先生も余計な指導はいらず幸せになるというお話が大変印象的でした。

ICTの活用とデジタル・シティズンシップについて説明する豊福晋平准教授・主幹研究員ICTの活用とデジタル・シティズンシップについて
説明する豊福晋平准教授・主幹研究員

デジタル・シティズンシップの指導事例について説明する林一真教諭
デジタル・シティズンシップの指導事例について
説明する林一真教諭

最後に、杉浦慶一郎理事(連携・附属学校担当)による閉会のあいさつが行われ、「自立と課題解決を促すような教育を、私たちが取り組んでいかないといけないということを改めて感じました」との感想が述べられました。

説明を聞く参加者説明を聞く参加者

終了後の参加者からのアンケートでは、「豊福先生のお話はチャレンジングで、林先生のお話は説得力にあふれていました。またぜひお話をお聞きしたいです」、「教育現場において、デジタル環境の整備やデジタル教材を活用しての教育の有効性や価値、そして将来、社会に出ていく子どもたちへの教育に教育機関はどう取り組んでいくべきかについて、非常に明快で分かりやすい説明を聞かせていただきました」、「GIGAスクール構想のもと、1人1台端末を具体的にはどう活用するかが各人に任されている状況にあって、理論だけでなく現場の実践も交えた内容でとても参考になりました」などの感想が学内外から寄せられ、デジタル・シティズンシップについて、大いに理解を深める機会となりました。

(教務企画課 教職キャリアセンター支援係長 佐藤将司)

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