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2022年2月16日 「第4回指導者用・学習者用デジタル教科書研修会」を開催

2022年03月04日

2月16日(水)に、本学次世代教育イノベーション棟にて、「教師の養成・採用・研修の一体的改革推進事業」の一環として「第4回指導者用・学習者用デジタル教科書研修会」を大日本図書株式会社との共催で開催し、32人(学生10人、教職員21人、学外者:1人)が参加しました。

今回の研修会は、本学と大日本図書株式会社との間で締結された相互連携に関する協定に基づいて開催したもので、デジタル教科書の特性や意義等についてより深く学ぶために、大日本図書株式会社の4人の講師により、デジタル教科書の演示や、参加者が持参したノート型パソコンを使用したデジタル教科書の体験を行いました。

ICTの活用について説明する新津勝二理事 ICTの活用について説明する新津勝二理事

はじめに、総務・財務担当の新津勝二理事から開会のあいさつが行われ、GIGAスクール構想の現状と現場でのデジタル化対応について紹介がありました。また、本学の「教師の養成、採用、研修に関する一体的改革推進事業」における、ICT活用指導力を育成する4年間のモデルカリキュラムの構築や、ICTに特化した科目の開発、作成した講義映像やモジュール化した教材の全国展開等について説明がありました。その上で、教科書会社を含む企業との共同研究を進めていくことも示されました。

次に、大日本図書株式会社編集局デジタル事業部執行役員の犬飼政利氏(本学理科教育領域の卒業生)から、デジタル教科書の概要として、3つの分類(指導者用デジタル教科書・学習者用デジタル教科書・学習者用デジタル教材)とそれぞれの特徴について説明があり、デジタル教科書・教材には、通常の教科書の内容に加えて、アニメーションやシミュレーション等のコンテンツが入っており、見えないものを可視化することで児童生徒の理解を助けたり、既習事項を振り返ったりすることができる機能について紹介がありました。また、平成31年4月1日から学校教育法の改定によって、主たる教材として授業での使用義務がある紙の教科書(教科用図書)の代わりに、学習者用デジタル教科書の使用が認められていることについて説明がありました。しかし、学習者用デジタル教科書の使用は学校判断に委ねられ、購入費用は市町村の教育委員会が負担することになっていること等からあまり使用されてないというのが現状であり、現在、文部科学省の実証事業にて、課題等を検証するために小・中学校にデジタル教科書が提供されているとのお話がありました。

デジタル教科書の概要について説明する犬飼政利氏デジタル教科書の概要について説明する
犬飼政利氏

研修会の様子研修会の様子

続いて、大日本図書株式会社編集局デジタル事業部の安田理那子氏から、小学校理科指導者用デジタル教科書の特徴や代表的なコンテンツについての説明があり、拡大ツールやペンツール、画像ファイルを紙面に貼る方法等、児童に視覚的に分かりやすく内容を伝えることができる機能の紹介がありました。また、余白部分が多くペンツール等で書き込むのに最適なスライドモードや、これらのスライドをまとめて表示するレビューモードの表示方法についてお話がありました。このほか、関連資料として紙面上にリンクされたアニメーション、シミュレーション、動画(自社制作の単元導入映像・実験映像・実験器具の使い方映像・NHKビデオ教材)等、授業をスムーズに進めるためのコンテンツの紹介がありました。参加者は持参したノート型パソコンを使用して、昆虫の画像を360度回転させて観察するといった操作を実際に体験しました。また、同デジタル事業部の市川治氏からは、教科書は知識を得るためのインプットツールで、そのアウトプットツールがノートであり、それを一体化して使えるのがデジタル教科書であるが、児童の学習履歴がタブレット、ノート、あるいはワークシートに残るなどいろいろとばらけてしまうことの問題は、今後どうしていくのがよいのかを考えていかなければならないとのお話がありました。

小学校理科指導者用デジタル教科書の活用について説明する安田理那子氏小学校理科指導者用デジタル教科書の活用
について説明する安田理那子氏

小学校理科指導者用デジタル教科書の活用について説明する市川治氏小学校理科指導者用デジタル教科書の活用
について説明する市川治氏

中学校理科指導者用デジタル教科書の活用について説明する千葉祐一氏 中学校理科指導者用デジタル教科書の活用
について説明する千葉祐一氏

次に、大日本図書株式会社編集局デジタル事業部の千葉祐一氏から、中学校理科指導者用デジタル教科書について、小学校理科指導者用デジタル教科書で説明があったもの以外の機能として、紙面上のどこにコンテンツがあるかを表示するクリックポイントや、振り仮名、白黒反転、めくり、ポインター、ストップウォッチ、タイマー、グラフツール等が紹介されました。また、書き込んだ内容の保存・読み込みや、振り返りマークによる既習事項のおさらいができる機能について説明がありました。続けて、市川氏から、理科の中でこうしたデジタルコンテンツが一番生かされる場面は火山の噴火等の実際に体験できない部分ではあるが、反対にデジタルで便利なところが際立ってくると、特に理科の学習ではリアルな体験にはもっと大事なところがたくさんあるということに気づかされることの方が多く、デジタルを使うと便利ではあるが、そうではない部分もたくさんあるということをまず忘れないでいただきたいというお話がありました。

最後に、総括として、研究・人事担当の岩山勉理事から「特に小学校の先生が理科を苦手であった場合に、デジタルで映像を見せることによってごまかしてしまうということが起こり得ることが不安で、子どもたちにとっては現物、本物を見るというのがすごく大事であるため、ある程度工夫が必要だと思いました」とお話があり、続いて、野田敦敬学長から「デジタル教材によって教員は授業の導入の教材研究にかける時間をある程度短縮でき、個別の子どもたちに充てる時間を確保できる、また、子どもたちはじっくり実験の時間を取ることができるという意味で価値があると思いました。個別化に対応でき、協働の部分は学習支援ソフトといかに組み合わせるかがこれからの研究になってくると感じました」との感想が述べられました。

総括する野田敦敬学長総括する野田敦敬学長

総括する岩山勉理事総括する岩山勉理事

研修会終了後のアンケートでは、参加者から「知っているつもりでいたデジタル教科書に関して、まだまだ知らないことがたくさんあることが知れたので、とても有意義な時間でした。デジタル教科書を使いこなすのは時間がかかることだと思うので、今のうちに少しでも知っておくことが大事だと感じました」「デジタル教科書にさまざまな機能があることが分かり、自分が教員になったらどのように使いたいかというイメージをわかせることができました」「いろいろ工夫されたデジタル教科書を実際に見て、すぐに使える映像や、復習などに使えるシステムなど、現場の教員側にとって、授業の準備をする時間を短縮できる点がよいと感じました。学長、大学の理科の教員、出版社、それぞれのご意見をうかがうことができ、大変勉強になりました」という感想が寄せられ、体験型研修会の有効性が現れた結果となりました。

(教務企画課 教職キャリアセンター支援係)

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