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2022年1月20日 全学FD講演会「コミュニケーションデザインとは何か〜対話の時代に向けて〜」を開催

2022年03月10日

1月20日(木)、オンラインビデオ会議システムを利用した遠隔講演として、教職キャリアセンター「『主体的・協働的な学び』を実践できる教員の養成-アクティブ・ラーニングを導入した新たな学習指導方法の開発-」プロジェクト主催による全学FD講演会を開催しました。教員・職員・学生計70人ほどが参加しました。

講師に芸術文化観光専門職大学長の平田オリザ氏をお招きし、「コミュニケーションデザインとは何か〜対話の時代に向けて〜」と題して講演を行いました。平田先生は劇作家・演出家として国際的に活躍をされる一方で、小中高校生を対象とした演劇指導や国内外の大学で教鞭を執られるなど、教育においても長年にわたり尽力されています。また、演劇の手法を生かしたコミュニケーション・ワークショップのための著書も多数執筆されています。

講師の芸術文化観光専門職大学長 平田オリザ氏(オンラインビデオ会議システムにて講演)講師の芸術文化観光専門職大学長
平田オリザ氏 (オンラインビデオ会議
システムにて講演)

講演では、はじめに劇作家としての簡単な自己紹介をされた後、平田先生が大学での授業で古くから実践されているワークショップをもとに進められました。まず、これから私たちが学ばなければいけないコミュニケーション能力について、「何のためのコミュニケーション能力か」「私たち一人一人の時間軸」を横軸・縦軸として捉える必要性について解説されました。次に、演劇における役作りを例に、異文化と接触するときの面白さ、面倒臭さ、また多様な解釈を面白がることが異文化理解につながり、人生を豊かにするために身に付けるべきグローバルコミュニケーションスキルにつながると説かれました。また、「相手の発話の意図としてのコンテクスト(文脈、発言の背景や意図)を理解する」ことの重要性について、医療コミュニケーションに携わったご経験をもとに解説されました。そして、子どもや患者に代表される社会的弱者はコンテクストでしか話せないことから、教育における良いコミュニケーションとは子どものコンテクストを受け止めるとともに、受け止めているというシグナルを返すことであると述べられました。また、アクティブ・ラーニングにおいては、発話を促すための環境作りが大切であると指摘されました。最後に、「シンパシー(同情)からエンパシー(共感)へ」として、互いのコンテクストを擦り合わせる習慣の重要性と、それを通して一人一人異なる、命の次に大切なものである文化をどのように守るか、また教育において"対話"を学ばせることの意義について語られました。

講演会の様子講演会の様子

講演後の質疑応答でも、いろいろな立場からの質問や感想が聞かれました。「共感できるように育てるための方法」についての質問に対して、平田先生は「演劇をすることです」と講演の文脈を引用して助言されました。また「研究においても、資料との"対話"による他者理解が重要でありそのためのコミュニケーション能力が求められることを再確認した」という意見について、大きく頷かれながら社会科教育におけるアクティブ・ラーニングの実践例を挙げられました。最後に、「音楽表現の指導のための助言」についての質問では、「幼児から小学校低学年までは音楽・美術・演劇・ダンスなどの垣根を緩くして一体となった体験が必要」と述べられました。演劇の話題からさまざまな分野に及び、教育とは、またアクティブ・ラーニングの本質について深く考えさせられた平田先生の講演は、私たちが目指したいアクティブ・ラーニング授業の体験であったと感じました。

(教職キャリアセンター FD部門 「『主体的・協働的な学び』を実践できる教員の養成-アクティブ・ラーニングを導入した新たな学習指導方法の開発-」プロジェクト 麓洋介)

(教務企画課 教職キャリアセンター支援係)

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