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2020年2月20日 第19回アカデミックカフェを開催しました。

2020年03月02日

田村建一特別教授 田村建一特別教授

2月20日(木),教育未来館 多目的ホールで第19回アカデミックカフェを開催しました。今回の講師は日本語教育講座の田村建一特別教授で,「ルクセンブルクの多言語教育 ―小さな国の大きな挑戦―」をテーマに講演が行われました。

田村特別教授はドイツ語が専門ですが,ルクセンブルク語がドイツ語の方言の一つから派生した言語であること,ルクセンブルクが三言語を公用語とし,さらに他の言語を利用する人々も多い多文化共生社会であることなどから,ルクセンブルクに関心を持ったそうです。

講義の様子 講義の様子

講演の前半ではルクセンブルクがどのような国かが,特に言語事情を中心として説明されました。ルクセンブルクは日本の神奈川県と同じくらいの面積を持つ小さな国ですが,地域ごとに公用語が定められる多言語国家とは異なり,その歴史的背景から国全体でルクセンブルク語,フランス語,ドイツ語の三言語が公用語として使用され,人々は状況に応じて使い分けています。話し言葉や私的メールなどはルクセンブルク語,行政文書などはフランス語,新聞などはドイツ語で表記されることが多く,どれかが欠けても生活に支障をきたすそうです。また,外国人も多く,人口のうち半数が外国からの移民です。田村特別教授は自身がルクセンブルクを訪ねた際に,公用語の一つであるドイツ語が分かるだけでは不自由した経験談を披露しながら,ルクセンブルクの状況を話しました。

ティータイムの様子 ティータイムの様子

ティータイムを挟んだ後半では,ルクセンブルクの教育について説明されました。その言語事情からルクセンブルクでは言語の獲得が学校教育の主要目的となっており,多くの時間が公用語の習得のための時間にあてられます。さらに上級の学年では英語や選択でラテン語・中国語なども学ぶことから,文系では言語科目が全体の約50%にも及ぶそうです。授業は原則ドイツ語で行われ,ロマンス語系の移民にとって負担が大きく,留年者も多い,という問題点が示されました。

ルクセンブルクの独特な言語状況とその教育の話に参加者は興味深く聞き入りました。講義後の質問時間には,こういった言語事情のもとでの学力状況や,公用語が複数であることによる混乱の有無,そして移民問題などについて,活発な質問が行われました。また講演後のアンケートでは「ルクセンブルクをもっと知りたくなった」「位置も知らなかったが行ってみたくなった」などの感想が見られ,参加者がルクセンブルクに関心を持つきっかけとなりました。

当日の講演内容の概要については,本学ホームページの「特色ある研究,研究集会,受託研究の紹介」に公開しています。

(広報・地域連携課 副課長 古田紀子)

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